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新城和博の「ごく私的な歳時記」 <2>

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沖縄県産本出版社が忙しくなるとき

 ヤンバルから桜祭りの話題が流れるころ、首里でも、ほんの少しだけ桜が開花する。
 ご存じのように沖縄の桜前線は南下してくるのだが、首里は高台にあるので、他の那覇地域よりも、少しだけ開花時期が早いようだ。

 ご近所の桜がわずかに咲き始めたのだが、お隣のKさんによると「たぶん去年の大きな台風の影響で、あんまり花は咲かないはずよ」とのこと。そういうこともあるのか。いずれにせよ、旧暦の上では12月、春はこれからだ。
 旧暦と新暦のタイムラグというか、ずれ具合を楽しむのは、沖縄県民の特権ではないかと思う。もう2月になっているというのに、旧暦ではまだ12月というのは、僕たちは慣れっこではあるが、でもなかなか面白い話ではないかと思うのだ。時はいろんな風に流れていると体感できるということ。

 正月行事は、沖縄でもかなり新暦、つまり太陽暦になっている。旧正月、つまり太陰暦(旧暦)の正月を行う地域は沖縄でも少数派。が、しかし、旧正月は特にしなくても、沖縄全域で旧暦通りに行われている年末、年始の行事がある。「ウガンブトゥチ(御願解き)」である。旧暦12月24日に各家庭で行われている、一年の集大成的な御願である。分かる人には分かる。

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 この時期になると、僕が働いている出版社にはさまざまな問い合わせの電話がかかってくる。『よくわかる御願ハンドブック』という本を出しているからだ。あなたの御願ライフの参考になれば・・・・・・という気持ちの本なのだが、「よく分からんさー」と今まさに御願をしている方々から、切羽詰まった問い合わせが続くのだ。ああ今年もこの季節が来たのか・・・・・・と感慨にひたるわけである。御願関係では一番問い合わせの多い日なのだ。

 「ウガンブトゥチ」は、年の初めにカミさまへの御願、家族の健康とか幸せを祈ったさまざまなお願いを年の終わりにほどく、という意味だそうだ。カミさまも一年間がんばったから、休ませてあげるのだろう。「願いをほどく」という言葉の実感が「ブトゥチ」という響きに込められている。ブトゥチ。

 今年は、2月12日が旧暦12月24日「ウガンブトゥチ」である。そろそろ沖縄各地の書店の「御願本コーナー」もにぎわい、御願本を出している出版社も対応に追われるのだ。
春近し・・・・・・。


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この記事のライター

新城 和博

ライター、編集者

新城 和博

1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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