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お役立ちコラム

ウチナー御願ばなし<サリー ウートートゥ>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

サリー ウートートゥ

「サリー ウートートゥー」と祈るオバァの背は丸みをおびて美しい。写真提供/むぎ社
「サリー ウートートゥー」と祈るオバァの背は丸みをおびて美しい。写真提供/むぎ社

込められた深い思い

 沖縄の人びとの信仰心を端的に表現した言葉の一つに、御願の際に無意識のうちに発する「サリー ウートートゥ」という呼びかけがある。
 呼びかけの後に「ウヤフジガナシ」あるいは「ヒヌカンガナシ」、「ウティンガナシ」と続き、「ミーマンティ ウタビミソーリ」という加護を求める言葉を添えて「ウートートゥ」でしめくくる。
 このような御願の常套句(じょうとうく)がオバァの口からこぼれ出るとき、その響きには独特のリズムがあり、いかにも美しい。また、敬愛の情を感じさせる接尾語の「ガナシ」もやわらかく心地よい。
 「ウートートゥ」は「尊い御前」とも訳されるが、祖先の霊であり、信仰する神々ということになろうか。死者の霊や、自然界に宿る神々への沖縄人の深い情愛の念が伝わってくる。それはまた、沖縄の民俗宗教の二本柱である「祖先崇拝」と「自然崇拝」をみごとに言い表した言葉だといえよう。従って、単なる呼びかけにとどまらず、神霊をおびた「言霊(ことだま)」ともいえるのである。
 祖先崇拝は、死者の霊魂を畏れ敬う祖霊信仰によって体現され、自然崇拝は琉球の神々が降臨すると信じられている「火の神信仰」や「御嶽信仰」によくあらわれている。
 また一方では、ウートートゥに始まり締めくくるわけだから、御願の開始と終了を告げる意味も含まれていることになる。

言霊か「リン」の音か

 読経の開始と終わりを合図するのに「リン」(鈴・輪とも)という梵音具(ぼんおんぐ)がある。音を出して使用する仏具の一つで、沖縄の一般家庭ではなじみの薄いものだろうが、本土の仏壇のある家庭では普通に備えられている。
 仏壇の前で手を合わせるとき、リン棒でリンを軽くたたく。テレビドラマなどで、このような場面が登場する。リンの澄んだ音は極楽浄土まで響き、仏様の耳に届くとされているそうな。
 私ごとで恐縮だが、リンをたたくことがどうも苦手で、何度経験しても要領を得ない。澄んだ音にならないのである。生来のぶきっちょのせいか、邪念がそうさせるのかは知る由もないが、やはりウートートゥの方が安心(あんじん)する。
 「ウートートゥ」という言霊か、「リーン」という澄んだ音か、どちらの方がより浄土に響き、仏さまの耳に届くのであろうか。
 一方に軍配を挙げるわけにはいかないのだろうが、われらがご先祖さま、この地に住まう神々は「サリー ウートートゥ」の呼びかけににっこりほほ笑まれる、と勝手に思うのである。
 手をすり合わせて「サリー ウートートゥ」と呼びかける習慣は、知らず知らずのうちに身体に組み込まれたものなのだろう。
 祈るオバァの姿は美しいし、その丸みをおびた背はやわらかい。

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~参考文献~
「ご利益別 沖縄の拝所」。子授けから商売繁盛まで、ご利益別にまとめた沖縄のパワースポットガイド

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執筆/座間味栄議
ざまみ・えいぎ 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事についてやさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。http://www.ugwan.com/


毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて第2週に掲載中<第1362号2013年8月8日掲載>

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