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お役立ちコラム

建築家と探す『地域の魅力』<末吉公園とその周辺(那覇市首里末吉町)>

美しい本殿に石造基壇の末吉宮も

『都市で触れる豊かな自然』

写真1/公園全景。自然が多く残り、深い緑が広がっている。起伏に富んだ地形で散歩も楽しい
写真1/公園全景。自然が多く残り、深い緑が広がっている。起伏に富んだ地形で散歩も楽しい

末吉公園とその周辺(那覇市首里末吉町)

 深い緑が広がる末吉公園は、散歩はもちろん、安謝川や井戸、有形文化財の末吉宮もあり、さまざまに楽しめるスポットだ。公園周辺を含め、魅力を感じているという金城傑氏((有)K・でざいん代表取締役)に案内してもらった。

文・写真/金城傑
(社)日本建築家協会沖縄支部会員

 沖縄県の有形文化財に登録された風情のある佇(たたず)まいに緑陰、緑の先に見える近代的な街やモノレールとの対比が面白くて、お邪魔するそば屋さんがある。そばを味わいつつ視線を外にやると、一方、緑陰の濃い影が何とも涼しげで、時間が止まるような感覚を味わえる(写真2)
 そのそば屋さんに隣接するのが、末吉公園だ(写真1)。那覇市内で最も自然が残り、深い緑が豊かに広がっている。多くの市民の憩いの場として利用されていて、わが家も子どもたちが幼いころ、よく利用させていただいた。公園は起伏に富み、野鳥のさえずりを聞きながらウオーキングを楽しむもよし、せせらぎの音を聞きながら川沿いを散歩するもよし、木陰でのんびりするもよし、広場でキャッチボールをするもよし、家族でミニピクニックもよしと、いろいろな楽しみ方ができる。 
 公園中央には安謝川の中流域が流れているが、生活排水でにごっていた以前に比べて、最近はだいぶきれいな流れになっている(写真3)。夏場になると川の周辺で蛍が観賞でき、公園のいたるところでセミの大合唱を耳にするなど、多様な植物や小動物と触れ合える貴重な場所にもなっている。自然体験・社会体験をするための施設「森の家みんみん」も、都会育ちの子どもたちにとって大変貴重である。
 視線を、公園後方の高台にやると、深い樹木の中に赤い社殿の末吉宮が垣間見える(写真4)。末吉宮は、琉球八社の一つで沖縄県の指定有形文化財で、琉球王国の第六代国王・尚泰久王の時代(15世紀中半)に熊野権現を勧請して創建されたという。本殿は昭和11(1936)年に国宝の指定を受けていたが、太平洋戦争により焼失し、昭和47(1972)年に再建された。深い緑の中を軽く登山気分を味わった後に、出合うアーチ加工が美しい石造基壇と、その上に建つ拝殿・本殿のプロポーションが素晴らしく、朱色と黒のコントラストも美しい(写真5)。そして、基壇を上り末吉宮の拝殿前から見る木々の中の街も、なかなか美しい。
 末吉宮の大名入り口付近は、昭和初期には競馬が行われていたようで、広い道幅がかつての馬場道(平良の馬場跡)を表している。当時と同じくリュウキュウマツが街路樹として植えられれば、さらにその雰囲気が伝わるのではないか。
 公園には、桜並木が幾つかあり、1月下旬から2月にかけて、開花した桜を前にピクニックする一行や写真を楽しむ多くの人々と出会う(写真6)。周辺住宅地へのアプローチも数多くあり、周辺に住む住民の利用度も高いようだ。隣接する風致地区である末吉地域の緑化率を高めていくと公園との一体感が増し、モノレールからの景観がより魅力的になるものと思われる。
 末吉町の北側には湧き水をせきとめて造った3つの井戸があり、その一つは現在でも地域の生活用水として活用されている(写真7)。周囲が都市化される中、公園とその周辺の緑や水がいつまでも豊かであることを心から願う。

写真2/末吉公園隣のそば屋からの眺め。緑と奥に見える街並みとの対比が面白い
写真2/末吉公園隣のそば屋からの眺め。緑と奥に見える街並みとの対比が面白い
写真3/公園中央を流れる安謝川の中流域
写真3/公園中央を流れる安謝川の中流域
写真4/本殿につながる石造基壇は、アーチ加工が美しい
写真4/本殿につながる石造基壇は、アーチ加工が美しい
写真5/末吉宮本殿。1972年に再建
写真5/末吉宮本殿。1972年に再建
写真6/公園内に幾つかある桜並木。ピクニックや撮影スポットになっている
写真6/公園内に幾つかある桜並木。ピクニックや撮影スポットになっている
写真7/末吉町北側にある井戸の一つ。現在も生活用水として使われている
写真7/末吉町北側にある井戸の一つ。現在も生活用水として使われている

※写真をクリックすると拡大して見ることができます。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1371号2012年3月23日紙面から再掲載」

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