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ウチナー御願ばなし<家・屋敷を守る「ヤシチガミ」>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

家・屋敷を守る「ヤシチガミ」

ムンヌキムンの一つ「ヒンプン」。一枚岩を短冊型に仕立てたもの(恩納村山田)。写真提供/むぎ社
ムンヌキムンの一つ「ヒンプン」。一枚岩を短冊型に仕立てたもの(恩納村山田)。写真提供/むぎ社

神々の強力な布陣

南城市大里にあるグフンジン。屋敷神を祭った祠。写真提供/むぎ社
南城市大里にあるグフンジン。屋敷神を祭った祠。写真提供/むぎ社

 悲喜こもごも、私たちが日々の生活を営む家・屋敷は、ひっくるめて「ヤシチガミ」と称する神々によって守護されている。神々の布陣は強力で、邪悪なもの(悪霊)の入り込むスキは寸分もないようにも見える。
 定期的に行われる「屋敷の御願(うがん)」は、家・屋敷を守護してくださる神々を拝み、感謝の念を捧(ささ)げることである。合わせて邪悪なものの侵入を阻止し、家内安全と家族の健康を祈願する儀礼でもある。
 それではまず、神々の布陣から見ていくことにする。

①グフンジン(御本尊)
 どこの家・屋敷にも祀(まつ)っているわけではないが、離島や本島南部などを中心に屋敷神を祀った祠(ほこら)があり、そこに宿る神様。家・屋敷に目を光らせ、守ってくださる。

②ジョウヌカミ
 門口に宿る神様で、門より入り込む邪悪なものを阻止してくださる。

③ユシンヌカミ
 家・屋敷の四隅に宿る神様で、門と同じように邪悪なものが侵入してきやすい四隅を守護してくださる。

④フールヌカミ
 豚便所に宿る神様で、「フドゥヌカミ」とも呼ばれる。邪悪なものを祓(はら)いのけ、家族のイチマブイ(生者に宿る霊魂)を守ってくださる。

⑤カーヌカミ
 井戸に宿る神様で、他の神々と力を合わせて家・屋敷を守護してくださる。

⑥ナカジンヌカミ
 上座敷と門口の中間あたりに宿る神で、家族の願いを天地の神へ届けてくださる。

⑦ヒヌカン
 家の守り神であり、家族の守護神でもある。

 そのほか、トートーメー(祖霊)、トゥクヌカミ(床の神)がクヮッウマガ(子孫)の行く末を温かく見守ってくださっているわけだ。

力強い助っ人も

 邪悪なものの力は、私たちが考えている以上に強力であるようだ。そこで、家・屋敷の守護を万全にするために、力強い助っ人を用意している。
 それが「ムンヌキムン」と称される魔よけである。
 直進してやってくる邪悪なものの「キリンチ」(切り返し)として設置される「ヒンプンと石敢當(いしがんとう)」。
 もともとは「フーチゲーシ」(邪気祓い)のために導入された「シーサー」。
 注意深く観察すれば発見できる「フーフダ」(符札)も、邪悪なものが屋敷内へ侵入することを阻止するためのもの。
 さらに言えば、屋敷囲いの石積みの四隅のフス(少し突き出した石)も魔よけの役割を担うものだ。
 これらの「ムンヌキムン」は、拝みの対象とはなっていないものの、神々の助っ人として重要な役割を果たしている。
 沖縄人がそれほどまでに恐れる「邪悪なもの」の正体とは…。屋敷の御願とのかかわりについては次回以降で話を進める。

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~参考文献~
「三山とグスク」」三大勢力(南山・中山・北山)に収れんされるグスクの相関関係とその興亡を読み解く、新歴史ガイドブック

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執筆/座間味栄議
ざまみ・えいぎ 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事についてやさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。http://www.ugwan.com/


毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて第2週に掲載中<第1371号2013年10月10日掲載>

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