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お役立ちコラム

本村ひろみの「おきなわ 暮らし散歩」<5>

石積みの塀

『春の探しもの』

日差しが柔らかく風が心地いい日は、イヤホンから流れる音楽を聞きながら、かなりの道のりを歩く。楽しく鼻歌交じりで。

うりずんの季節。

茫洋(ぼうよう)とした春の花曇りの天気。今にも雨が降りだしそう。

「まぁいいか、きっと大丈夫。晴れ女だし」って運まかせで傘を持たずに出かける。小雨くらいなら、傘も差さずに平気で歩くのは学生のころからの習慣。大雨になったらどこかで雨宿りしたらいいしネ。

雨にぬれた石積みの塀沿いに、ゆるい坂を下る。塀の上にはブーゲンビレアがいっせいに空に手を伸ばしている。ふと、大好きな画家・金城明一さんの絵を思い出した。水を含んだやわらかい色彩で描く沖縄の風景。この季節の色だ。

見上げると、灰色の空がラッパの形をしたピンク色に覆われている。押し花にしようと落ちている花を幾つか拾って手帳にはさむ。

ブーゲンビレア
ブーゲンビレア

「この風景、昔見た気がする」。デジャビュ。

遠い日の記憶をたどりながら歩く。なんだか探しものをしている気分。

「あー。あの日もこんな風が吹いていた」

湿度の高い風にのって、春の匂いが懐かしい風景を運んでくる。

シロツメクサ
シロツメクサ

雨にぬれた芝生の上のシロツメクサ。小学校の帰り道、弟と一緒によく道草をした。時間を忘れて、てんとう虫や四ツ葉のクローバーを探していたっけ。

匂いと思い出はどこかでつながっているらしい。

今でも草刈り後の青い芝の匂いは、子どもの時に遊んでいた友だちの声をよみがえらせる。

公園の馬
公園の馬

先日、都会の真ん中の公園でのんびり草を食(は)む美しい馬を見た。幻想的な光景を見たその夜、マンションの中庭には大きなコウモリが遊びにきた。木の実を探していたのか、バサッバサッとヤシの木を揺らして闇を切る音に、ネコも一緒に興奮していた。夜風の吹くベランダで、ネコも集会に誘ってくれる友だちを探しているようだ。

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春の夜には何かが起こりそう。そんな空気が潜んでいる。

大地が潤い、花が咲き、木々の緑が鮮やかになっていくうりずんの季節。
私たちは大人になった今でも、春が巡ってくるたびに希望という光に満ちた新しい教室、新しい椅子を探す旅に出る。

「春の探しもの」

それは春という季節にだけ与えられた輝きのように。


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この記事のライター

本村 ひろみ

フリーパーソナリティー

本村 ひろみ

那覇市出身。清泉女子大学卒業。
ラジオやテレビのレポーターを経て、ラジオのパーソナリティ、式典や披露宴、イベントなどの司会として活躍中。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「プラチナ世代の活き方革命」でパーソナリティーを務める。沖縄県立芸術大学大学の修士課程を修了。英国サリー芸術大学に留学し、ファッション・デザイン課マスターコースで学んだ経験を生かし、デザインやイベントのプロデュースにも携わる。
http://cats007.ti-da.net/

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