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主婦が営む屋敷の御願 <ウチナー御願ばなし>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

主婦が営む屋敷の御願

家庭の主婦が営む屋敷の御願。ユシンヌカミへの祈願。
家庭の主婦が営む屋敷の御願。ユシンヌカミへの祈願。

御願あれこれ

3個の石を横一列に並べた最も古い形の屋敷神。(大宜味村塩屋)写真提供/むぎ社
3個の石を横一列に並べた最も古い形の屋敷神。(大宜味村塩屋)写真提供/むぎ社

 春秋の彼岸の入りごろになると、屋敷内に供物をそなえ、拝みをする主婦の姿が見られるようになる。沖縄の習俗に疎(うと)い本土の人から見れば「何ごとかしら?」と思うのかもしれない。
 屋敷の御願(うがん)である。一般的には旧暦の2月と8月、それに加え、同12月24日の「御願解き(ウグヮンブトゥチ)」や「火の神の上天の拝み」の際にも営む地域が多い。これらの屋敷の御願を「定期の御願」としておく。
 全島域にまたがって分布し、時期や回数に若干の地域的な違いも見られるが、司祭するのはほとんどが家庭の主婦である。
 定期の御願のほかに新築のときの屋敷浄(きよ)めの御願、フシウン(星運)を強めるため、あるいはヤシチヌアレ(屋敷の荒れ)と判断されたときに営まれる御願もある。これらを司祭するのは多くの場合、霊能者やウグヮンサーとよばれる者である。

供物のあれこれ

 屋敷の御願も、神仏(カミや祖霊)の不思議な力によって、病気や災いから逃れるように祈るという厳かな儀式である以上、一定の形式をもつのは当然のことである。ただ形式にこだわるあまり、霊能者のまねごとをする必要は全くない。
 ありあわせの盆(膳)の上に、酒・花米(洗っていない生米で御花ともいう)・洗い米・ウチャヌク(神仏に供える餅で、三段重ねを一飾りとする ※下記注釈)を並べ、季節の果物を添えて、線香・シルカビ(神に供えるお金で白紙3枚を一組とする)を用意しておけば十分に事足りる。
 ウチカビをそなえる人も見られるが、本来、ウチカビは祖先祭祀(さいし)に用いるものであり、屋敷の御願では不用である。わざわざウサンミ(ごちそう)を用意する必要もない。
 線香の数は地域的・個人的な違いが大きい。火の神はタヒラ半(12本・3本)、そのほかはタヒラ(12本)を基本と考えれば悩むことはない。屋外はヒジュルウコー(火をつけない)とする傾向が見られるが、本来は火をともす。

拝み方いろいろ

 拝む対象は、ヒヌカン・トートーメー・ユシンヌカミ・ジョーヌカミ・フールヌカミ・ナカジンヌカミとほとんどの地域で共通している。トートーメーや現代式トイレは拝まない地域も見られる。
 ここでも、沖縄の御願の特性が見られる。つまり、地域で異なるのが当たり前で、積み重ねてきた拝み方が正当性を持つということだ。
 要は、心をこめて家・屋敷の加護に対する感謝と、神々が力を合わせてヤナカジ・シタナカジ(邪悪なもの)を押しのけて、福徳を寄せてくださり、ナンジャヤシチ・クガニヤシチ(銀・黄金の屋敷)にしてくださるように願うことである。 そして、家族の健康と家の繁栄を祈願することが拝みの本質だということだ。

※注 最近では餅の三段重ねの代わりとしてタンナファクルーを用いる人も見られる

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~参考文献~
「火の神と屋敷の御願(むぎ社発行)」
 オバァたちが今日でもなお、ゆるぎない崇敬の念を抱く「ヒヌカン信仰」。沖縄全島域の実例を挙げながら、今日的な沖縄信仰生活の実態を明らかにする。

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執筆/座間味栄議
ざまみ・えいぎ 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事についてやさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。http://www.ugwan.com/


毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて第2週に掲載中<第1380号2013年12月12日掲載>

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