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建築家と探す『地域の魅力』<倉敷ダム(沖縄市倉敷)>

人工ながら五感刺激する自然空間

『再生された心地良い水辺』

倉敷ダム(沖縄市倉敷)
写真2/人工的に再生された「やんばるの川」の全景。カーブを描く川の中には腰掛けが設けられ、遊ぶ子どもたちを眺めながら一休みできるよう工夫されている。岩でできた腰掛けは、周囲の自然に違和感無く溶け込んでいる

倉敷ダム(沖縄市倉敷)

 豊かな水をたたえる「倉敷ダム」には、木々や人工的な小川など心地よい水辺が広がっている。執筆者の福田俊次さん((株)国建)は「生活がデザインされた優れたランドスケープ作品」と話す。人と自然が共生する水辺の魅力を紹介してもらった。

文・写真/福田 俊次
(社)日本建築家協会沖縄支部会員

 国道329号から、かつては多くの人でにぎわっていた「東南植物楽園」の閉じたゲートのそばを通り、倉敷ダムへと向かいました。
 ゲートを入ると深い緑の自然に囲まれた、神秘的なダム湖の別世界が目の前に広がっていました(写真1)。静かにたたずむこの光景は「あなたたちの飲み水はこのダムが安全に守っていますよ」と言っているようで、安心させてくれるに十分なものでした。
 周囲には広い駐車場や、休憩所、遊び場なども設けられ、休みになるとたくさんの家族が楽しそうにピクニックをしています。デートコースとしても有名だそうです。
 管理事務所でもらったリーフレットによると「比謝川水系与那原川の上流に昭和36年米軍によって建設された利水専用の瑞慶山ダムを多目的ダムとして再開発。国と県企業局との共同事業として昭和57年より建設に着手し、平成8年に完成。沖縄県が管理する倉敷ダムとして生まれ変わった」と書かれていました。
 ダム湖を横目で見ながら奥へ進んでいくと、元気な子供たちの声が聞こえ、たくさんの家族が楽しそうに水遊びをしている小川が目に入りました。人工的に造られた幅約10メートル、長さ約100メートルの「やんばるの川」と表示されていました(写真2)。天然の川砂利を敷きつめ、滝や少し深い池、浅くゆるやかに流れるせせらぎが、昔からそこにあったように周りの環境と一体になって造られています。
 小さい子どもたちは水の中を歩き回り、水を蹴ったり石を払っては投げたり、座り込んだりとても楽しそうに遊んでいます(写真3・4)。小さなエビやカニ、ハゼ等もいるようで、少し年長の子供たちは網を片手に、一生懸命その小さな生き物たちと何時間も格闘しています。親も一緒になって楽しんでいます。
 川の周囲にはたくさんの高木が植えられ、木陰空間が設けられています。テントやパラソルをもった家族もいますが、みんな木陰の周りに集まり、川で遊ぶ子供を見守っています(写真5)。川面を通るひんやりと涼しい風と、水のせせらぎや滝の音などが訪れる人々の心を癒やしてくれます。
 暑くて長い沖縄の夏を家族一緒に、安全に、楽しく、涼しく何時間も戯れ過ごせるベストプレイスの一つだと思います。
 井戸端会議や水遊びなど人間の日常のいろいろなシーンを想定し、さりげなくデザインされた素晴らしいランドスケープ作品です。周囲の環境にうまく同化し、押し付け的でなく利用する人の意思でどのようにも過ごせる空間です。人間の五感を刺激する要素がたくさんあります。人工の自然ではありますが、とても心地良い再生自然空間です。
 東南植物楽園がいつしか再オープンして周囲が一層活性化し、たくさんの人が訪れたくなる自然豊かな地域になってほしいと願っております。

沖縄県 地域の魅力
写真1/豊富な水をたたえた倉敷ダム。神秘的な雰囲気を漂わせている
写真3/川には小さなエピやハゼなど、たくさんの小さな生き物たちがいる。自然に触れ合える貴重な空間だ
写真4/川遊びをする親子連れ。水深は浅く水の流れもゆるやかなので、小さな子どもも安心して遊べる
写真5/水辺のそばにある緑の空間。木の下で、家族の会話も弾む

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1398号2012年9月28日紙面から再掲載」

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