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ウチナー御願ばなし<ウチナーンチュの純朴な信仰心>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

ウチナーンチュの純朴な信仰心


御願とはいったい何ぞや?

写真提供/むぎ社 写真提供/むぎ社

 「ウグヮン 何回シン チャーフスク」―直訳すれば「御願(うがん)を何回やっても、いつも不足」ということになるだろうか。

 御願なんてものはきりがないもので、これでよしということがないということだろう。

 「ウグヮンブスク」(御願不足)を常套句(じょうとうく)として使う霊能者への当てこすりとも受け取れようが、ウグヮングトゥ(拝みごと)に振り回される主婦のややあきらめにも似た嘆息(たんそく)にも聞こえなくもない。いずれにしても、ウグヮングトゥをめぐる沖縄社会の混乱した状態を揶揄したことばであることにはちがいない。ことほど左様に、今を生きる我々にとっても、御願というものはなかなか骨の折れることだし、悩ましいことでもある。

 そこで、改めて「御願とは何ぞや?」という素朴な問いかけにシンプルに応えながら、本コーナーのメーンテーマである「火の神」および「屋敷の御願」について考えてみたいと思う。はしょって言えば、御願とは「神霊や祖先に対する儀礼と供養」ということになろうか。

 身近なものからあげると「チィタチ・ジュウグニチ」(旧暦の一日・十五日)の火の神・トートーメー(祖霊)への御願がある。ついで、折目節日の年中行事の御願があり、屋敷の御願、人生儀礼にともなう御願、法事にまつわる御願、祖先祭祀(さいし)・村落祭祀にかかわる御願、そして神拝みなどなど。こうしてみると、まさに「御願づくし」の感があり、通年「ウグヮングトゥ」のオンパレードの様相を呈する。

 さらに、形式にこだわる人は、線香の数から花米(ハナグミ)・洗い米(アライグミ)・白紙(シルカビ)・打ち紙(ウチカビ)・ウサギムン(供物)・ウグヮンクトゥバ(グイス)に至るまで、頭を悩ますこときりがない。これでは先にあげた霊能者に対する当てこすりもあながち的外れでもないし、主婦の嘆きも大げさなことではないだろう。しかし、元来、御願というものは「神霊や祖先に手を合わせて祈る、沖縄人の純朴な信仰心のあらわれ」というのが順当だと思える。ましてや、明確な提唱者(キリストや釈迦)もいなければ、教義(聖書や仏典)もない民俗宗教の象徴としての御願という行為は、形式にこだわらない「心からの祈り」であったはず。

 それが「ミーマンティ ウタビミソーリ」(見守ってください)とひたすら願う主婦の祈る姿に見事に映し出されているといえよう。背を丸めて一心不乱に祈るオバァの御願に、形式を問う意味は、いかばかりのものがあろうか。

参考文献 ※写真は拡大して見ることができます ~参考文献~ 全島の実例とともに御願について書いた「オバアが拝む火の神と屋敷の御願(むぎ社)」、家づくり墓づくりの指南書「福を招く家づくり墓づくり(むぎ社)」


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執筆/座間味栄議

ざまみ・えいぎ 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事についてやさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。http://www.ugwan.com/


毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて第2週に掲載中<第1345号 2013年4月11日掲載>

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