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お役立ちコラム

建築家と探す『地域の魅力』<名護中央公園(名護市名護)>

氏神祭る市民の心の拠りどころ

『神殿・拝殿 参道に桜』

写真4 拝殿を背に見渡した名護の市街地や名護湾。嘉津宇岳の山並み(写真奥)も一望できる
写真4 拝殿を背に見渡した名護の市街地や名護湾。嘉津宇岳の山並み(写真奥)も一望できる

名護中央公園(名護市名護)

 名護市名護の名護中央公園は、かつてナングスク(名護城)があった場所。その魅力を、地元の建築家・比嘉伝英氏(美音SpaceDesign㈱代表)は「神殿や拝殿といった、氏神を祭り崇拝してきた歴史を感じさせる建物、市街地や名護湾を一望できる眺望、参道の階段沿いをはじめ園内で鮮やかに咲くカンヒザクラ」と語る。同公園を案内してもらった。

文・写真/比嘉 伝英
(社)日本建築家協会沖縄支部会員

 名護中央公園は、名護の中心市街地からヒンプンガジマル、オリオンビール工場と、散策を楽しみながら徒歩15分ほどで着ける位置にあり、日本一早い桜祭りの会場としても知られています。
 同公園の中心であるナングスクは、14世紀初めごろに今帰仁城主の弟・名護按司(あじ)が山上に城を構え居城した場所です。それから約200年後、尚真三王の中央集権によってその一族が首里へ引き揚げ、残された領民がそれぞれ平地に移り住み、城跡に氏神を祭り崇拝し、市民の心の拠りどころとなっています。特徴としては、石積み・城壁が見られないグスクで、掘り切りが確認できることからも土塁のグスクと考えられています。
 さて、参道(写真1)を公園表玄関南口から上ってみましょう。約620段もある階段沿いのカンヒザクラは、1928(昭和3)年に、神殿と拝殿の改築を記念して城区青年団が植樹したもので、日本桜の名所百選にも選ばれているほどです。

左から 写真1 参道。1928年の神殿・拝殿の改築記念で植えられたカンヒザクラが、階段沿いで花を咲かせる 写真2 参道の階段を上りきった場所にある神殿 写真3 拝殿。神殿同様、初詣や祈願の場になっている
左から
写真1 参道。1928年の神殿・拝殿の改築記念で植えられたカンヒザクラが、階段沿いで花を咲かせる
写真2 参道の階段を上りきった場所にある神殿
写真3 拝殿。神殿同様、初詣や祈願の場になっている

 階段を上りきって息切れしつつたどり着いたところには、神殿(写真2)や拝殿(写真3)があります。初詣や祈願の場として、名護の発展や安全を見守っています。その拝殿を背に名護湾・市街地を見わたしますと、眼下に広がる名護湾やヒンプンガジマル、中心市街地やオリオンビール工場、嘉津宇岳の山並みを一望でき、名護が「山紫水明の地」と言われるゆえんを実感します(写真4)
 拝殿や神殿の右側にある階段状の神道(祭祀をする女性神役が使う道)は、本来は男子禁制で、昼間でも薄暗く、すごく神聖な場所で、パワースポットと言われています(写真5)。その神道を上って開けた場所に、神アシャギは位置します(写真6)。毎年、城区豊年祭の初日には神踊りが奉げられます。

神殿や拝殿の右側にある神道。パワースポットとしても知られる
写真5 神殿や拝殿の右側にある神道。パワースポットとしても知られる

 再び拝殿や神殿まで戻ると、その下方に「白い煙・黒い煙」の碑があります(写真7)。本土に向かう娘を乗せ名護湾を航行する船に対し、見送りにも行けない老父母が煙を焚き、別れを惜しむ情景を主題にしたもので、18(大正7)年に稲垣国三郎氏の物語を基に、59(昭和34)年に碑として建立されたものです。時代とともに便利さゆえに人とのつながりが薄れ、そのような情緒的なことが少なくなる一方、そこを訪れることで、人の大切なものを思い起こさせてくれます。
 ナングスクには、山頂近くの万本桜(写真8)のほかに、子どもが思い切り遊べる公園や川、ステージなど魅力ある場所がたくさんあります。ぜひ来年のさくら祭りを楽しみにナングスクへ足を運び、あなただけの場所を探してみては、いかがでしょうか。
 最後に、世界遺産の今帰仁城跡と歴史的に同じ流れをくむナングスクも、今後、調査・研究が進んでいけば、世界遺産に追加登録されるのでしょうか。そうなることを、名護市民として切に願います。

神アシャギ。城区豊年祭の神踊りが奉げられる
写真6 神アシャギ。城区豊年祭の神踊りが奉げられる
神殿・拝殿の下方にある「白い煙・黒い煙」の碑
写真7 神殿・拝殿の下方にある「白い煙・黒い煙」の碑
山頂近くで鮮やかに咲く万本桜(2013年1月撮影)
写真8 山頂近くで鮮やかに咲く万本桜=2013年1月撮影

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1414号2013年1月25日紙面から再掲載」

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