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建築家と探す『地域の魅力』<浦添市港川の外人住宅エリア>

内部は改装、外観はオリジナル保つ

『建物の間隔・道幅が絶妙』

外人住宅エリアの全景。周辺のまち並みとの違いがはっきり分かる
写真1.外人住宅エリアの全景。周辺のまち並みとの違いがはっきり分かる

港川の外人住宅エリア(浦添市)

 近年はおしゃれなお店が次々とオープンし、注目を集めている浦添市港川の外人住宅エリア。外人住宅の建物としての魅力や、同エリアの特徴を、同市に事務所を構える大嶺亮氏(ファイブディメンジョン一級建築士事務所・代表)にひもといてもらった。

文・写真/大嶺 亮
(社)日本建築家協会沖縄支部幹事

 戦後、米軍によって建設された住宅は、広い庭とコンクリートブロック造の平屋建てで、当時の人々からは最先端の憧れの的として見られていました。実際には高温多湿の沖縄の気候には配慮していないため、1日中空調を効かせて住んでいたようですが、ちょっとエコとは言えない生活スタイルも含め、憧れの対象となっていたのでしょう。外人住宅自体は、時代とともに数は減っていますが、現在の建物とは違う独特なカタチや、今ではぜいたくと言える敷地の大きさから、住宅や店舗の賃貸物件として人気が高いことはご存じの通りです。
 この外人住宅エリアは人気がありますが、大きな通りには面していないので、なかなか分かりづらい場所にあります。同エリアの近くにある人気の学園通りから直接アクセスできないのは、バプテスト教会側から現在の浦添商業高校正門前につながる通りが、その当時のメーンストリートで、学園通りはまだ無かったためです。この分かりにくさが、ちょっとした隠れ家的な印象を与え、人気の理由の一つかもしれません。

建物同士の距離が離れているため、大きな樹木も育つ/上写真。メーンストリート。シンプルな外観の建物が建ち並ぶ/下写真
写真2.建物同士の距離が離れているため、大きな樹木も育つ/上写真
写真3.メーンストリート。シンプルな外観の建物が建ち並ぶ/下写真

 このエリアは、1本のメーンストリートに直行するように8本程度の小道がクシの歯のように延び、その道に約60戸ほどの住宅が並んでいます(写真1・2)。メーンストリートとはいっても、道幅は6~7メートルほどと広くありません(写真3)。小道にいたっては4メートルほどしかなく、行き止まりとなっています。この道幅や行き止まりの構造、適度な規模の集落数が車の量を強制的に調節し、安心して徒歩で散策できるエリアを形成しています(写真5)

小道。平屋なので狭い道路幅でも圧迫感は感じない/上写真。地域学童での利用。道路で遊ぶ子どもの姿は、最近なかなか見られない/下写真。
写真4.小道。平屋なので狭い道路幅でも圧迫感は感じない/上写真
写真5.地域学童での利用。道路で遊ぶ子どもの姿は、最近なかなか見られない/下写真

 小道沿いに建つ住宅は道から1.5メートルほどしかセットバックしていませんが、平屋のため圧迫感はまったく感じません(写真4)。また建物同士の間隔も十分に離れているので、まち並みが詰まった感じもありません。この道幅、平屋の建物、隣棟間隔が現在の他の住宅地とは違った居心地を感じさせている理由でしょう。
 間取りの特徴は、玄関を開けるとすぐにリビングがあることです。玄関ホールや廊下もなく、いきなり部屋に入ります。また靴を脱ぐスペースもなく、段差もありません。この造りは日本人が住宅として使う時には何か対策をしないと落ち着かない感じがする半面、店舗として使用する場合にはかえって好都合であり、店舗として利用されることが多い理由の一つでしょう。
 外人住宅地が人気のエリアとして成功している理由は、建物内部は比較的自由に改装することを認め、住み良さや使い良さを確保し、外観は、できるだけオリジナルの状態を保ち、独自の雰囲気を大切にしている点だと思います。
 最近の新興住宅地などは、県内・他府県とも同じようなイメージを目標に、画一的なまちができているように思います。同エリアのように、地域性やその時代の文化、使う素材ではなく空間の構造などを、それぞれのまちづくりに反映できると良いのではと考えます。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1422号2013年3月22日紙面から再掲載」
当連載は今回で終了します。

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