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ウチナー御願ばなし<くじけない沖縄の神々>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

火の神を取り替える際に、古い火の神のご神体を捨てた川(ミーガー、国頭村)
火の神を取り替える際に、古い火の神のご神体を捨てた川(ミーガー、国頭村)

供物の中身は時代とともに変っても、御願の本質は変わらない
供物の中身は時代とともに変っても、御願の本質は変わらない

くじけない沖縄の神々

期待される現世御利益

 供物を供えてお祈りすれば、神様は願いごとをかなえてくださる。災いや不幸な出来事を解消してくださる。供物の中身は時代とともに変化しても、拝みの本質はさして変わらない。それが沖縄の御願(うがん)。
 一定の儀式をもって祈ったり、供物をささげたりすれば人間の言うことを聞いてくださるという思い。その不可思議な力によって、人間ではいかんともしがたい自然界とうまく折り合っていきたいという願いが沖縄の神々を創り出した。
 誠に得手勝手で都合の良い話ともいえるのだが、我らが祖先・古代沖縄人が神々を創り出した理由の一つ。
手っ取り早く言えば、もっぱら現世的な御利益を期待して神々を創り出したということ。ここでいう御利益とは自分の利益にかなうこと。人間の都合の良いように、神々の力によって執り成してもらうことだ。
 次第に変わってきたとはいえ、沖縄の神々に期待されるのは現世での御利益が一番で、まことしやかな教義ではない。

ゴーグチ・ヒャーグチも

 「あんなに熱心に、あれほど一生懸命に心をこめて拝んだのに、孫が病気になってしまった。あんたはけしからん。実にけしからん」と、オバァが神様を呵る。
 「チィタチ・ジュウグニチはもちろん、月々の折目節日も忘れずに真っ先にあんたを拝んできたのに、オバァの命を守ってくれなかった」と、オジィが怒り、火の神を川に投げ捨てる。
 願いごとがかなえられなかったときに、オバァは悪態の一つもつくし、司祭者のオバァが亡くなったときには、火の神のご神体を取り替えるために川に捨てる。遺棄する川も決まっている。
 沖縄の神々は、願いごとがかなえられなければ、罵声をあびせられ、ご神体といえど処分されるのだ。
 そうだからといって、人間の身勝手を責めるわけでもないし、世の無情をしたり顔で説いたりもしない。愛想をつかせて人びとを見捨てるわけでもなければ、去ってしまうこともない。
 沖縄の神々は懐が深く、真に慈悲に充ちている。そして決してくじけない。
 オジィ・オバァのゴーグチ・ヒャーグチ(小言やグチ)もまた、御願として受け止めてくださるのである。沖縄の神々は古来より、こうした存在であったのだろう。

返答に窮する問いかけ

 沖縄人が「宗教は?」と聞かれて返答に窮したという話はよく耳にする。けだし当然のことである。
 何もないところで地べたに座して供物を並べて心よりの祈りをささげてみなければ、沖縄の神々は理解できない。
 通俗的な意味で「宗教は?」と問われても、何とも答えようがない。

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~参考文献~
「沖縄行事料理とふるまい料理(むぎ社発行)」 主婦歴50年の7人が作った沖縄の「行事料理+ふるまい料理」73のレシピ。誰でも手軽に作れる。カラーさし絵のレシピが料理本のイメージを変える。

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
写真提供/むぎ社
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1392号2014年3月13日より再掲載>

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