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第1回沖縄建築賞 審査講評「正賞・住宅建築部門 正賞・一般建築部門」

第1回沖縄建築賞 審査講評

沖縄に適した通風や眺望、空間に反映

 このほど、入賞作品7点が決まった「第1回沖縄建築賞」。通風や眺望を取り込む大胆な空間構成や、緑化を意識した全体計画など、『沖縄らしい』建築の多彩な提案に評価が集まった。6月8日午後2時から、那覇市のタイムスギャラリーで表彰式が行われるのにあわせて、審査委員の講評を紹介する。

審査委員
委員長・古市徹雄(建築家)/小倉暢之(琉球大学工学部環境建設工学科教授)/名嘉睦稔(版画家)/西里幸二(県建築士会会長)/仲元典允(県建築士事務所協会会長)/島田潤(日本建築家協会沖縄支部支部長)/比嘉弘(タイムス住宅新聞社代表取締役社長)
※役職は2015年5月20日現在


正賞・住宅建築部門
第1回沖縄建築賞正賞・住宅建築部門

「海をのぞむ家」

沖縄県うるま市 畠山武史(40)

全室が海に向けて開く

・不整形な敷地に、壁を雁行(がんこう)させながら全ての部屋が海に向かって開放される平面計画は秀逸。逆梁(ぎゃくばり)を用いたコンクリート直仕上げの天井は外部空間へ連続し、伸びやかな空間を生み出している。自然通風を充分に取り入れようとする工夫も評価できる。

・素材や質感の調和に細かい配慮が見られる。全体的に設計や施工に手堅さ、レベルの高さが見られる。

・まるで穴蔵のような躯体。おのずと遥かな水平線へ視線が吸い込まれる感覚がする。風と同時に虫も鳥も、この部屋を往来して良いという度量の大きさもさることながら、この地の風土を生かそうとする心意気が良い。

・玄関周りには、涼を感じさせる水盤を配置し、開口部も風の流れが考慮され、好感が持てる。住宅内部に段差があり、気になる。

・沖縄の気候風土に真摯(しんし)に向き合う姿勢を感じる。フルオープンの開口部への台風時の配慮も充分にされていて、安心感がある。ただ、ダイニング・リビングの空間と他の部屋との関係がもう少しファジーにつながれば、もっと沖縄らしい大らかさが生まれたかもしれない。

・室内は一見、冷たい印象だが、落ち着いた壁色やアンティークな照明、家具などでリラックスできる。


正賞・一般建築部門
第1回沖縄建築賞正賞・一般建築部門

「SOLA 沖縄保健医療工学院」

沖縄県宜野湾市 石川保(38)

外部空間を豊かに演出

・立体駐車場や倉庫に囲まれ、学校建築には不向きと思われる敷地で、ボリューム(ボックス型の教室)の間に作り出された、多様な外部テラスやブリッジ、吹き抜けなどがダイナミックな新しいキャンパス空間を作り出すことに寄与している。それらの空間は外と連続し、自然通風を取り入れる役割も果たしている。

・設計主旨にある「授業に出席しなくてもよいから毎日通学したくなるような学校」を、キューブ(ボックス型の教室)間の多様な隙間を用いて全体構成するという視点はユニーク。半戸外のテラスや通路をその隙間に配置することによって、亜熱帯沖縄ならではの新たな地域性の表現が展開している。上層階に見られる豊かな外部空間が1階に少なく、キューブの外に構造柱が露出している点は気になる。

・多くある吹き抜けは、雨の日には雨を、風の日には風を感じさせ、外界を身近なものにしている。廊下や階段などが外にあり、各教室につながるのだが、少しずらすことで複雑な構造を感じ、楽しげである。

・ローコストに徹し、建物の半分を占める外部空間を実現した設計者の熱意を高く評価したい。

・箱を無秩序の積み上げたようでいて、全体的にバランス感があり、段違いの教室、オープンスペースの配置、斜めやらせん状に走る階段が面白い空間を生んでいる。建物の中央の吹き抜けに面した廊下からは、階の違う教室ものぞけて、学生の特権である開放感、自由度を尊重しているようだ。


「奨励賞・住宅/奨励賞・一般」

「タイムス住宅新聞社賞・一般/審査委員特別賞・一般」


タイムスギャラリーで応募47作品を公開

 「第1回沖縄建築賞」の入賞7点を含む、全47点の応募作品が、2015年6月8日(月)から14日(日)の7日間、那覇市久茂地のタイムスギャラリーで公開される。入場無料。


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1535号2015年6月5日紙面から掲載」

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