沖縄の不動産・賃貸・売買ならコノイエ+プラス

お役立ちコラム

ウチナー御願ばなし<現世と来世つなぐシーミー>

-13-

 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

沖縄流祖霊との交流風景でもあるハカナーでの歓談
沖縄流祖霊との交流風景でもあるハカナーでの歓談

現世と来世つなぐシーミー

シーミーの供物。彩りも華やかな重箱(重詰)料理
シーミーの供物。彩りも華やかな重箱(重詰)料理
写真提供/むぎ社

協奏曲か狂奏曲か

 軽快なリズムに乗ってビギンの「国道508号線」が流れる。その歌詞の中に「トゥシビー シーミー 旧正月」というフレーズがある。祝い事をイメージしたものなのか、単なるゴロ合わせなのか、その意図するところは知らない。深く詮索するつもりはないのだが、妙に頭にこびりつく。
 時として夏の陽気に包まれる太陰暦の清明の節入り(新暦四月五日ころ)を告げると、シーミーシーズンの到来である。
 ハーリー鉦(かね)ならぬシーミー鉦を鳴らすのは総菜屋とスーパー。予約注文に趣向を凝らし、特設コーナーにはシーミー商品が所狭しと並ぶ。レジにはカートいっぱいの商品を買い求めた主婦が列をつくる。盆・暮れに次ぐかきいれ時だそうだが、さもありなんと思う。この時ばかりは浮世の好不況の波もおよばない。
 週末ともなれば沖縄自動車道は渋滞となり、テレビ・ラジオは墓地周辺道路の混み具合を終日伝える。こうした社会の喧騒(けんそう)は、主婦・総菜屋・スーパーの三位一体となった協奏曲なのか、それとも狂奏曲なのか。

沖縄流祖霊との接し方

 墓地周辺は供物を抱えた家族連れでにぎわい、ハカナー(墓庭)では車座になった親戚一同がウサンデー(共食)したごちそうに舌鼓を打ちながら笑いさざめき、時としてサンシンの音が混じる。その中を子どもたちがはしゃぎ回る。
 はたから見れば、祖先をしのび供養するといった厳かな儀式とはおよそかけ離れた風景に映るだろう。しかし、それこそが沖縄流の祖霊との接し方である。
 儀式を通して畏敬の念を示し、ウサンデーを通して祖霊と親しく交わり、ハカナーの宴を通して死者の霊を慰撫する。まさしく「グソー」(来世=死者)と「イチミ」(現世=生者)が魂によってつながっていることが体現できる絶好の機会だといえよう。ここで儀式か遊楽かの軽重を問う意味はない。

健康と繁栄を祈願

 墓地の守護神であるヒジャイガミへの感謝の祈りに始まり、墓前で家族の健康と一門の繁栄を祈願し、ウチカビをたきあげて一連の儀式は終了する。その後にウサンデーし歓談となる。
 ヒジャイガミは当主が祈願し、沖縄線香(ヒラウコー)タヒラ(ヒラウコー二片分=日本線香十二本分)をささげ、ウチカビ五枚をたきあげる。墓前には花を生け、酒・お茶・水・重箱チュクン(一組)・果物とお菓子の盛り合わせで一対、さらにウチカビをお供えし、ウチジヘイシ(取り換え用の料理)を用意しておく。
 線香は当主がタヒラで他の者は二分の一ヒラ、ウチカビは当主が五枚で他の者は三枚ずつをたきあげる。(線香・ウチカビの数は地域によって異なる)

1395hp_uchinaugan03
~参考文献~
「トートーメーQ&A(むぎ社発行)」
 トートーメーの継承問題を一問一答形式でズバリ答え、併せて年中行事や人生儀礼とトートーメーとの関わり方をまとめた。

▼関連する記事(ウチナー御願ばなし)


執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
写真提供/むぎ社
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1395号2014年4月3日より再掲載>

月別アーカイブ

ライター