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ウチナー御願ばなし<思いこめウサンデーサビラ>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

祖霊が感謝をこめてお返しした供物を受け取り、祖霊とともにおいしくいただく
祖霊が感謝をこめてお返しした供物を受け取り、祖霊とともにおいしくいただく

思いこめウサンデーサビラ

「ウコードゥ コーコー」という先人の言葉をかみしめよう
「ウコードゥ コーコー」という先人の言葉をかみしめよう
写真提供/むぎ社

万物に宿る精(シー)

 「重箱に盛り合わせの果物、お酒をお供えしたって、いったいぜんたいご先祖さまは召し上がってくれるのかしら?」
 御願の際に頭をもたげる素朴な疑問の一つ。
 料理に手をつけるわけでもないし、果物の一果でもなくなるわけでもない。お酒の量が減るわけでもない。見た目には供物を食した形跡はない。それでいて、丁寧にウハチ(御初)を抜き、ウチジヘイシ(供物の取り換え)をする。
 古来より沖縄では、生きとし生けるものすべて、太陽や月、山や川、草や木にも精(魂)が宿ると信じられてきた。
 「チチヌシーヤチチンカイ イシヌシーヤイシンカイ キーヌシーヤキーンカイ」(土の精は土に 石の精は石に 木の精は木に)という御願の際に唱える言葉の中にそのことがよくあらわれている。また、食べ物を戸外に持ち出すときにサンを添える。食物に宿る精が邪悪な霊に穢(けが)されぬよう、抜き取られないようにというまじないである。当然のこと、供物の重箱や果物、酒にも精が宿っていることになる。

祖霊が召し上がるもの

 ここまで読むと、察しのよい読者は、祖霊が召し上がるものが何であるかがおわかりいただけるだろう。
 料理の一品でもなければ、果物の一かじりでもないし、お酒の一すすりでもない。その中に宿る「精」なのである。
 形のない目に見えない精を祖霊が食したからといって、目の前の供物に変化があらわれるわけはない。
 何事にも合理的な考えを重んじる人にとっては「そんなアホな話があるかいな」ということになるだろう。ところが、アホな話と思えることでも通るのが信心の世界である。ウチカビもあの世で通用するようにと、祖先祭祀(さいし)のたびごとにせっせと焚(た)きあげるのではないか。

意味をかみしめて

 クヮッウマガ(子孫)の供えたごちそうを心ゆくまで堪能し、感謝をこめてお返しする。そのお返しを「ウサンデーサビラ」の一言を添えて受け取る。そして祖霊とともにおいしくいただく。墓前であろうと仏前であろうと、それは変わらない。
 邪悪な霊に触れた食物は精が抜き取られ腐食するが、祖霊が食した食物は新たな精霊が吹き込まれる。その精霊こそが、私たちクヮッウマガを災厄から守ってくれるのだ。
 だからこそ、ウサンデーを徒(あだ)や疎(おろそ)かにしてはいけない。また、いたずらに供物の華奢(きゃしゃ)を競う必要もない。「ウコードゥ コーコー」(線香こそ孝行)という貧しい時代の言霊(ことだま)をかみしめる良い機会でもあるだろう。

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~参考文献~
「トートーメーQ&A(むぎ社発行)」
 トートーメーの継承問題を一問一答形式でズバリ答え、併せて年中行事や人生儀礼とトートーメーとの関わり方をまとめた。

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
写真提供/むぎ社
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1399号2014年5月1日より再掲載>

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