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お役立ちコラム

本村ひろみの「おきなわ 暮らし散歩」<9>

本村ひろみさんのコラム

『セミの声もひときわ高く』

用もないのに
蒸し暑い日は何度も冷蔵庫をのぞく。
麦茶に水ようかん。みかんゼリーに食べかけの冷ややっこ。
いまの気分はこれじゃない、と
冷凍庫をあけるとガリガリ君が2本あった。
今日の空の色のような水色。

汗がひいたので
扇風機をそばに暑中見舞いを書くことにする。
机の上の散らかったモノを片付けてスペースを作る。
手書きをする時は何となくあらたまった気分。
「花火」と「ひまわり」が描かれた葉書を広げ
深呼吸して一文字書く。
水茎の跡うるわしく、とはいかないけど
ブルーのインクのおかげで
異国からの便りのように書き上がった。
息を吹きかけて文字を乾かす。
届くまでどうか雨にぬれませんように。

社会人になりたての頃は
葉書や手紙を書くためにわざわざ珈琲(コーヒー)専門店に行った。
ひいた豆の香り。
セピア色の照明、木目調の椅子とテーブル。
漆喰(しっくい)の壁、置いている本、マスターの趣味の絵。
流れている音楽、窓から見える景色。
専門店という空間は非日常を演出していた。

とっておきの時間。

友人とのたわいないおしゃべりも楽しいけど
一人の時間も豊かだ。

窓から差し込む光の中でほこりが舞っている。
友人へつづるコトバを考えながら
テーブルの上の白い紙を見つめていたら
笑い合った夏の日が浮かんできた。
ふと
今日が永遠の中の一日ということに気づく。
窓の外、風が吹いて緑の影が躍動している。

本村ひろみさんのコラム

葉書をかばんに入れて
坂道を下ったところにあるポストに投函(とうかん)する。
パサッ。
底の方からかすかな音が響いた。
小さな紙の短い旅。
友人の家の郵便受けは
少し古びた赤いポストの形だったのを思い出した。

本村ひろみさんのコラム

「ふみの日」に発売される記念切手。
今年も星山理佳さんのデザイン。
数センチの小さなキャンバスに
プール、紙風船、アジサイ、干し柿、スズメ、
季節の風物が柔らかいタッチで描かれている。
切手を貼って「想い」が完成。
あなたのもとに、懐かしい便りが届きますように。

「セミの声もひときわ高く 暑中お見舞い申し上げます」


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この記事のライター

本村 ひろみ

フリーパーソナリティー

本村 ひろみ

那覇市出身。清泉女子大学卒業。
ラジオやテレビのレポーターを経て、ラジオのパーソナリティ、式典や披露宴、イベントなどの司会として活躍中。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「プラチナ世代の活き方革命」でパーソナリティーを務める。沖縄県立芸術大学大学の修士課程を修了。英国サリー芸術大学に留学し、ファッション・デザイン課マスターコースで学んだ経験を生かし、デザインやイベントのプロデュースにも携わる。
http://cats007.ti-da.net/

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