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新城和博の「ごく私的な歳時記」 <8>

那覇市首里の森

カエルの王様

首里の森の傍らに引っ越してきてしばらくたつが、今年は妙に気になる、カエルの鳴き声。
台風が続いた頃からか、雨の気配がする夜になると、森全体からカエルの声が響いている。

最初は夏の虫たちの声かと思ったのだが、あの音量とユニゾンの具合はカエルの合唱ではないかと、改めてウッドデッキに出て聞いてみると、いやなかなかのものだ。いくつかの種類の声が森をゆらしている。

朝のセミの声とは違って、夜のカエルは、なんだか涼しげである。実際聞いてもらえたらいいのだが、小鳥の声のような、鈴の音のような、カエルらしからぬ声だ。カエルって実は「げろげーろ」って鳴かないんじゃないのか。

沖縄にはたくさんのカエルがいるらしく、首里の森の合唱隊がいったいどのカエルなのかはまったく分からない。
もう真夜中といっていい時分、カエルの輪唱が続く中で、一声さらに目立って鳴く声がした。鳥? 犬? いや、これまたカエルのようだ。文字にできないが、しいて書けば「くぃーっ くいーっ」か。合唱隊を率いて独唱するその気配は、姿は見えないが、もしかしてカエルの王様か、何か? カエル氏の素性が知りたくなった。
とりあえずデジタルカメラで映像と音声を撮ってみた。真っ暗闇の画面の中でしばらくすると「くー、くー、くぃー、くぃー、ぐぃーっ」と声がした。

ヤンバルの山の中で、カエルの声を録音するのが趣味の友人のことを思い出し、その映像と音声をフェイスブックにアップして、これはいったい何カエルなのだろうかと質問してみた。
なかなか特定するのが難しいらしく「ハロウェルかも」とのこと。しゃれた名前のアマガエルだ。世の中には何でも専門家がいるものである。

カエルも専門のサイトがいくつかあると教えてもらった。沖縄にカエルってこんなに種類がいるのだな、と関心する。鳴き声も聞けるサイトがあるので、いろいろ聞いてみた。初心者には見た目はエグく感じたが、だんだんかわいく思えてきた。鳴き声も実にさまざま。その中で聞き比べると、リュウキュウアカガエルのような、オキナワイシカワガエルのような……うーん、やはり素人ではよく分からない。とりあえず、あのひときわ目立つ彼のことはカエルの王様ということにしよう。首里天蛙(スイティン アタビチャー)と命名した。

眠れぬ真夏の夜の過ごし方もいろいろある、というお話でした。

那覇市首里から見た夕焼け
那覇市首里から見た夕焼け

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この記事のライター

新城 和博

ライター、編集者

新城 和博

1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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