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お役立ちコラム

ウチナー御願ばなし<シチグヮッチの明暗>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

盆明けの「エイサー」。行事が終わっても徘徊する「招かざる霊」を追い払う意味もある
盆明けの「エイサー」。行事が終わっても徘徊する「招かざる霊」を追い払う意味もある

シチグヮッチの明暗

ウンケーの夕食に、ショウガの葉入りの「ウンケージューシー」を供える家庭も多い
ウンケーの夕食に、ショウガの葉入りの「ウンケージューシー」を供える家庭も多い

招かれ歓待される祖霊

トゥブシ(迎え火)の火が赤々と燃えてほの揺れ、そのつくり出す影を追い回しているうちに、ウンケー(祖霊迎え)が始まり、手を合わせる傍らを連れ立った祖霊がすり抜ける。
 一昔前のウンケー風情は様変わりを見せるが、祖霊を偲(しの)んで慰(なぐさ)め、供養する盆(シチグヮッチ)の行事はさして変わることはない。
 旧暦七月七日の「タナバタ」で、お墓回りを清掃し、ヒジャイガミ(墓地の守護神)に墓の守護に対する感謝の祈りを捧げ、墓前で盆の案内をかける。
 十三日の「ウンケー」で祖霊を迎え、十四日の「ナカヌヒー」を挟んで十五日の「ウークイ」でもてなした祖霊を送る。この一連の行事が盛大な祖霊祭りでもある「旧盆」である。
 位牌(いはい)や香炉などをていねいに拭き清め、仏だんを供物で飾り、年に一度だけご先祖様を家内に招き入れる。用意万端、おさおさ怠りない。
 クヮッウマガ(子孫)の心づくしの歓待を受けるのだから、祖霊も喜び勇んで我が家をめざす。
 ところが、このように偲び慰め、供養を受ける祖霊に混じって「招かざる霊」もやってくる。

徘徊する招かざる霊

 さとうきびや田芋などを細かく刻み、水を入れた容器にうかべた供物を仏だんの最下段(玄関でも)に置く。祖霊に紛れてやってくる「招かざる霊」のために用意された「ミンヌクー」である。
 招かざる霊も、歓迎されないのを心得ていると見えて、祖霊の供え物には手を出さず、ミンヌクーを食すると信じられている。
 はてさて、それでは、「招かざる霊」とはいったい何者であろうか。
 一般的には、餓鬼(がき)や悪霊だとされている。餓鬼とは、イチミ(現世)で犯した悪業の報いとして餓鬼道に落ちた亡者のことを指す仏教語。常に飢えと渇きに苦しむという。
 餓鬼なんて言葉は、いかにもおどろおどろしいが、仏教に疎い者にはピンとこない。沖縄流にウグヮンブスクに苦しむ死者の霊といった方が、まだしも理解が及ぶのではなかろうか。
 悪霊とは、解釈の仕方はいろいろあるだろうが、祟りをする死者の魂ということだろう。
 何故に祟りをするかといえば、霊能者は言葉巧みにあれやこれやと説いてみせるが、一口に言えば「成仏できないから」ということになろう。
 成仏できない霊は、イチミとグソーの境目の世界、キリスト教的にいえば煉獄(れんごく)をさまよっており、それが祖霊に紛れこんでやってきて、飢えと渇きをいやすというのである。
 他県の施餓鬼も同じ意味合いをもつ風習だと思うが、我らの「ミンヌクー」の方が響きがやわらかい。

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~参考文献~
「沖縄行事料理とふるまい料理(むぎ社発行)」 主婦歴50年の7人が作った沖縄の「行事料理+ふるまい料理」73のレシピ。誰でも手軽に作れる。カラーさし絵のレシピが料理本のイメージを変える。

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1413号2014年8月7日より再掲載>

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