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お役立ちコラム

本村ひろみの「おきなわ 暮らし散歩」<10>

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『境界線』

雑踏をぬけて
国際通りからパラダイス通りへ入る。
この辺りは昔ながらの静けさ。

やけたアスファルトの匂い。
強烈な日差しに温められた足もとは
ゆっくりと崩れ
舗装された新しい通りも
いつの間にか平たんとはほど遠い。

つきあたりには昔ながらのお茶屋さん。
更新されていない記憶の地図は懐かしい風景のまま。
茉莉花(ジャスミン)茶の青い缶。
キツネ色のショーケースが並ぶ横長の店。
いまは存在しない風景も重なり合う。

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子どものころ、一銀通り近くに住んでいた。
木造アパートの2階。
1階は一銭マチヤーで
笑うと銀歯が光るオバさんが店番をしていた。

裏道をぬけると山形屋が近い。
デパートの屋上にはいろんな種類の昆虫が売っていて
カブトムシにあげるため
スイカの食べ残しを紙に包んで持って行った。

暗くなるまで遊んで
デパートが静かになると、母の店へ行く。
遊び疲れた小さな姉弟に大人たちが声をかける。
「また明日ね」
「お父さんお母さんにヨロシクね」
「ちゃんと宿題してヨー」
まるでドリフターズのかけ声のように
みんな優しい。

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母のいる「ほんむら堂」の看板にあかりがともっている。
少し早足になって弟の手を引っぱる。
国際通りには夕涼みのオバァたちが
ウチワをパタパタさせながら座っていた。
犬も猫も一緒にボンヤリしている。
40年前の国際通りの話。

取材の途中
ゴロゴロした道で
サンダルのストラップが外れた。
立ち止まってフックをかけ直す。
ほこりっぽい足もとから見上げる空には
2Bの鉛筆で描いたような雲が
画面からはみ出る勢いだ。

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8月
夏が失われていく切なさ
気づいたら夏は終わっている。
そう、ある日突然に夏は終わる。
何度も経験していることなのに。
季節の境界線。
なぜ忘れてしまうのだろう。

ベランダで夕涼みをしていると
風にのってエイサーの音が聞こえてきた。
遠くなったり近くなったり。
ドンドンドンドーン。

お盆とともに夏がいく。
暦には書いていないけどみんな知っている。

いつも通りの朝。
もうセミは鳴いてない。

風が少しだけ涼しくなった。


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この記事のライター

本村 ひろみ

フリーパーソナリティー

本村 ひろみ

那覇市出身。清泉女子大学卒業。
ラジオやテレビのレポーターを経て、ラジオのパーソナリティ、式典や披露宴、イベントなどの司会として活躍中。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「プラチナ世代の活き方革命」でパーソナリティーを務める。沖縄県立芸術大学大学の修士課程を修了。英国サリー芸術大学に留学し、ファッション・デザイン課マスターコースで学んだ経験を生かし、デザインやイベントのプロデュースにも携わる。
http://cats007.ti-da.net/

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