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郵便局が語る まちの記憶(那覇市久茂地)

「郵便局が語る」 まちの記憶 Vo.11

地名変われど 変わらぬ親しみ

 全国各地にある郵便局。局名には必ずその場所の地名が名付けられています。記念にしようと、旅先で局名の入った消印を集める方もいます。今回は、そんな郵便局の局名と地名にまつわる話です。

<1>那覇の中心部に建つパレットくもじ。現在の久茂地1丁目、旧美栄橋町に位置する。モノレール県庁前駅側の1階に「美栄橋郵便局」(写真②)が入居している
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那覇の中心部に建つパレットくもじ。現在の久茂地1丁目、旧美栄橋町に位置する。モノレール県庁前駅側の1階に「美栄橋郵便局」(写真②)が入居している

 那覇市の中心、久茂地。県庁の向かいに建つ「パレットくもじ」ビルをご存じの方も多いと思います。このビル内には、美栄橋郵便局が入居しています。そしてもう一局、美栄橋駅にほど近い位置に、潮渡川に面して久茂地郵便局が開設されています。

 両郵便局は、よく考えると不思議な局名です。パレットくもじにあるのが美栄橋郵便局、美栄橋駅の近くにあるのが久茂地郵便局。まるで入れ替わったように、局名と地名が逆転しています。そしてこの両者の中間付近にある旧久茂地公民館のそばには、久茂地と美栄橋の頭文字を取ったような「久美橋」という名の橋まで存在しています。
 そして、よく見れば現在でも、久茂地3丁目を中心に美栄橋を名乗る施設、建物がいくつか存在しています。パレットくもじ近くの通称「三角公園」も、正式には「美栄橋公園」という名称です。6年ほど前まで国際通り沿いの市内線松尾バス停付近にあった銀行の支店も「美栄橋店」でした。ではどうして、郵便局の局名が入れ替わっていたり、久茂地3丁目にある公園や銀行が美栄橋を名乗るのでしょうか。

 この一つの答えと思われるのが、1971年11月15日に久茂地周辺で実施された町界や町名、地番の整理です。久茂地町と美栄橋町が再編成されて、現在の久茂地1丁目から3丁目となりました。現在の久茂地のうち、概ね久茂地川を挟んだ西側が旧久茂地町、東側と牧志1丁目、県庁の敷地部分が旧美栄橋町にあたります。久茂地3丁目は美栄橋町にあたり、久美橋という名も久茂地町と美栄橋町を結んでいたために名付けられた名前です。町名が変更されても、人々が長年慣れ親しんでいた場所の名がそう簡単に変わるわけではありません。そのため地名が変わっても施設、建物は変わらずに、結果として古い地名を残すのでしょう。
 パレットくもじという誰もが知っている場所にも過去を語るものが存在しています。みなさんの身近な所にある、見慣れているもの、当たり前のものが、実は地域の成り立ちを語ってくれる存在なのかもしれません。

<2>パレットくもじ内にある「美栄橋郵便局」。ちなみに、パレットくもじの横、県庁前駅の下付近で久茂地川に架かる橋の名称は美栄橋ではなく御成橋
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パレットくもじ内にある「美栄橋郵便局」。ちなみに、パレットくもじの横、県庁前駅の下付近で久茂地川に架かる橋の名称は美栄橋ではなく御成橋
<3>潮渡川に面して、久茂地2丁目に開設されている「久茂地郵便局」。局舎前の道を左側奥へ進むと美栄橋
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潮渡川に面して、久茂地2丁目に開設されている「久茂地郵便局」。局舎前の道を左側奥へ進むと美栄橋
<4>久茂地郵便局の看板。正式には「那覇久茂地郵便局」となる。2階の囲碁クラブも久茂地を名乗っている
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久茂地郵便局の看板。正式には「那覇久茂地郵便局」となる。2階の囲碁クラブも久茂地を名乗っている
<5>美栄橋の橋と駅。美栄橋はもともと首里と那覇を結ぶ長虹堤に架けられた由緒ある橋。久茂地川と潮渡川が分かれる位置に架かっているため、川の両岸にある道を結ぶ変則的な形をしている
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美栄橋の橋と駅。美栄橋はもともと首里と那覇を結ぶ長虹堤に架けられた由緒ある橋。久茂地川と潮渡川が分かれる位置に架かっているため、川の両岸にある道を結ぶ変則的な形をしている
久美橋の親柱に刻まれた橋名。
久美橋の親柱に刻まれた橋名。
<6>久美橋。向かって左側が久茂地町、右側が美栄橋町。両者を結び、頭文字を取って名付けられた。奥の白いドームが旧久茂地公民館
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久美橋。向かって左側が久茂地町、右側が美栄橋町。両者を結び、頭文字を取って名付けられた。奥の白いドームが旧久茂地公民館
<7>パレットくもじの近くにある三角公園と呼ばれる公園。正式な名称は「美栄橋公園」
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パレットくもじの近くにある三角公園と呼ばれる公園。正式な名称は「美栄橋公園」

<まちあるきライター>
一柳亮太(ひとつやなぎ・りょうた)

 1978年、神奈川県出身。大学で地理学を専攻し、離島に暮らす人々の生活行動を研究。まちや地域をテーマにしたワークショップやプロジェクトを運営する傍ら、まちあるきライターとしても活動。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1344号2011年9月16日紙面から再掲載」

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