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ウチナー御願ばなし<嫡男継承へのこだわり>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

 沖縄本島内で普通に見られる沖縄位牌(写真左から一番目から二番目)  一人、一組の夫婦のみをまつる位牌(写真左から三番目)  位牌札を重ねるようにまつる(写真左から四番目)
 沖縄本島内で普通に見られる沖縄位牌(写真左から一番目から二番目)
 一人、一組の夫婦のみをまつる位牌(写真左から三番目)
 位牌札を重ねるようにまつる(写真左から四番目)

嫡男継承へのこだわり

 位牌(いはい)継承の理想の形を実現するために、四つのルールが存在することは前回お話しした。また現実には、ルールを厳守することは極めて難題であり、問題解決のために次善の策がとられることも述べた。
 嫡男(ちゃくなん・長男)による位牌継承が困難な事態としては、「男の子がいない」・「長男の夭折(ようせつ・幼い死)」・「未婚のままの死亡」・「遠隔地(本土や外国)の居住」などが挙げられる。
男の子がいない場合
 「男の子がいない」とは、実子に位牌継承者がいなことを意味する。多くの場合、養子をとり継承者とする。ただし、養子の条件として父方の血筋を引く男子に限るとされる。優先順位は、兄弟の子、従兄弟(いとこ)の子とするのが一般的である。
 それでも適任者がいないときは、同じ門中まで選択の幅をひろげる。戦後の一時期まで、養子に出すのは長男とする地域が多かったが、近年は次男以下とする傾向が強くなったようだ。

長男が夭折した場合

 夭折とはいっても、死亡時の年齢が七歳以下かどうかによって事情が異なる。
 七歳以下の場合は、死後ただちに「カミ」となると観念され、位牌を仕立ててまつることはしない。それだから、位牌継承者からは除かれるという考え方が採用されているようだ。
 従って、故人の兄弟が継承者となっても、「チャッチウシクミ(長男を差し置いて次男・三男がトートーメーを継承すること)」や「チョーデーカサバイ(一つの位牌立てに兄弟を重ねてまつること)」のタブーには触れないと解釈されている。
 ただ近時の傾向として、夭折であっても、位牌を仕立ててまつる人が増えてきたようだ。また、死亡時の年齢を三歳未満とする地域もあり、違いも見られる。
 八歳からは、位牌を仕立ててまつり、継承者とみなされる。従って、故人の兄弟が継承者となることは禁じられている。先の二つのタブーに触れるからである。このケースでの継承者は「男子のいない場合」と同じ。
 なお、未婚のまま亡くなった場合もほぼ同じ扱いになる。

遠隔地に居住する場合

 将来、位牌を継承すべき者が、外国や本土で家庭を持った場合、位牌を継ぐために沖縄に戻ってくるか、さもなくば位牌を移すかの選択を迫られる。位牌祭祀を優先させるならば、沖縄に戻ることになるだろうし、生活を優先させるならば、位牌を移動させることになる。いずれを選択しても、切実で困難な問題である。
 位牌を移動した場合、それに伴う祭祀(さいし)も移動先で営まなければならず、そうかといって、位牌継承のために生活拠点を移すのも容易なことではない。

次回は「イナググヮンス」(女位牌・女元祖)について見ていく。

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~参考文献~
「トートーメーQ&A(むぎ社発行)」
 トートーメーの継承問題を一問一答形式でズバリ答え、併せて年中行事や人生儀礼とトートーメーとの関わり方をまとめた。

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1426号2014年11月6日より再掲載>

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