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沖縄の建築家が考える住まい・デザインの発想【デザインのもと<6>】

デザインのもと
疑問を解決してみる

 住宅設計を進める中で、予算面から規模を小さくすることはよくあります。今回紹介する住宅は、その中でもさらに小さくした住宅です。解決策を探る中での気付きから、生まれた構造デザインを紹介します。

規模を小さく

 いつものように、予算に合わせ規模を調整しながら図面を描いていました。その住宅はいつもよりさらに小さくする必要がありました。規模を小さくした図面を眺めていると、あることに気が付きます。それは「壁の厚み」です。
 建物がコンパクトになると壁の存在感がグッと増します。何だか壁の厚みが占めるスペースがもったいなく思えてきました。もちろんワンルームにすると解決しますが、生活スタイルから仕切り壁のある空間が求められていたため、必要な壁でした。

気付きが新たな発見に

 そこで、ある疑問が生まれます。「壁はどこまで薄くできるのか」。もちろん、通常の壁をつくる考え方では限界があります。そこで厚さ16ミリの「鉄板」を壁として使うというアイデアが浮かび、早速、計画してみることに。図面を眺めると壁はまったく気になりません。むしろ扉の厚さの方が気になるくらいでした=実物写真<1>。

<1>引き戸や扉よりも薄い「鉄板の壁」
<1>引き戸や扉よりも薄い「鉄板の壁」
壁の厚みで変わる有効面積
壁の厚みで変わる有効面積

発見から構造をデザイン

 このように鉄板を間仕切り壁にすることで、有効スペースを増やすことに成功。鉄板は強度も高いことから、構造的に利用することで台風や地震に耐える効果も。おかげで、庭側の連続窓の大開口も実現しました=写真<2>。
 限られた予算から計画していく中で疑問が生まれ、それを解決することでこれまでにない構造デザインに発展。同時に建築空間の別のメリットを生み出すことにもつながりました。

<2>「鉄板ハウス」。鉄板壁で実現した開放的な開口部。設計監理:エス・エヌ・ジーデザイン
<2>「鉄板ハウス」。鉄板壁で実現した開放的な開口部。設計監理:エス・エヌ・ジーデザイン

執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)

執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)
すえまつ・しんご/一級建築士。東京で構造家の今川憲英氏、池田昌弘氏のもとで修行した後、県内建築士事務所を経て、2001年、エス・エヌ・ジーデザイン設立

▼HP
sngDesign(エス・エヌ・ジーデザイン)
http://sng-design.com/

▼関連記事はこちらから
<11>構造技術を空間と一体に
<10>強さと経済性とデザイン
<9>使い方で変わる木材の強さ
<8>基礎を知る<後編>
<7>基礎を知る<前編>
<6>疑問を解決してみる
<5>素材の特徴生かす
<4>形に秘められた能力
<3>骨格を美しく
<2>構造とデザインの関係
<1>構造って何?


<デザインのもと>
沖縄タイムスの副読紙/毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1554号2015年10月16日紙面から再掲載」

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