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ウチナー御願ばなし<女性排除へのこだわり>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

トートーメー問題をテーマにした講演=2014年4月那覇市小禄
トートーメー問題をテーマにした講演=2014年4月那覇市小禄

女性排除へのこだわり

 沖縄の位牌(いはい)継承のルールでは、女子が生家の位牌を継ぐこと、生家の位牌にまつられること、ヤーダチ(家の創設)して初代の先祖(タチクチグヮンス)になることを「イナググヮンス」(女元祖)と称して忌み嫌う。
 「女性(娘)は生家にとどまるべきでなく、いずれ結婚して嫁入り先で生涯を終え、夫とともに嫁ぎ先の祖先としてまつられるべき」だとする伝統的な考え方に基づいたルールといえよう。
 そのことを真っ向から否定する気はない。しかし、子は娘だけでも構わない、離婚率の上昇、独身(生涯)女性の増加といった昨今の現実社会ではルールそのものの存在意義が問われようし、その不条理性を指弾する声も十分な正当性を持つだろう。ともあれ、「イナググヮンス」になる可能性のある事例を見ていく。

父方の血筋引く男子に

 まずは娘だけの場合。子どもが娘しかいないというのは、珍しいケースではない。
 ルールに従えば、娘はすべて嫁に出し、あらためて父方の血筋をひく男子を養子にとり、位牌の継承者とする。娘に婿養子を迎えて継承者とすることは認められない。
 婿養子がたとえ父方の血筋をひく者であっても、いずれ娘が亡くなったときには、生家の位牌にまつられることになり「イナググヮンス」のタブーに触れてしまう。父方の血筋をひかない者の場合は、先のタブーに加えて「タチーマジクイ」(異なる血筋の者が祖先の位牌にまじること)の禁忌をも犯してしまうことになるからだ。

あの世で復縁させる

 そして離婚した場合。一口に離婚と言っても、再婚するか否か、子の有無など多様な条件が想定される。
 子も無くかつ再婚もしない場合は、位牌とのかかわりでは未婚女性と同じ扱いとなり、死後は生家でまつられるのが一般的である。
 ただし、このケースでのまつり方は、祖先(両親を含む)の位牌とは別の位牌を仕立て、ウコールも別にして安置する。安置する場所も、祖先の位牌をまつった仏壇にという地域もあるが、別に棚をつくりまつる地域もある。そして、まつる者の一代限りとする地域が多く、世代をまたいでまつることはしない。
 連れ子がいて再婚しない場合は、当然、死後は子がまつることになるのだが、このケースでは女性の「タチクチグヮンス」になるとみなされイナググヮンスのタブーに触れる。
 これを避ける方策の一つとして「グソーニービチ」(冥婚)や「イフェーニービチ」(位牌結婚)と称される方法が採用される。今生(こんじょう)で離縁した夫婦を死後にあの世で復縁させ、夫婦としてまつるのである。なかなか理解し難いことだが、それだけ位牌継承者としての女性排除の意識が強いのだろう。
 連れ子がいて再婚する場合も、位牌継承者はあくまでも父方の血筋をひく者に限るという条件に何ら変わりはない。従って、女性の連れ子が再婚先の位牌の継承者となることは認められない。

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~参考文献~
「トートーメーQ&A(むぎ社発行)」
 トートーメーの継承問題を一問一答形式でズバリ答え、併せて年中行事や人生儀礼とトートーメーとの関わり方をまとめた。

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1430号2014年12月4日より再掲載>

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