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ウチナー御願ばなし<天国・極楽かニライカナイか>

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 沖縄独自の御願行事、火ぬ神(ヒヌカン)や屋敷の御願などはやり方や意味が分からなくて悩んでいる人は多いはず。その由来や実践方法まで、沖縄の歴史、民族に詳しい座間味栄議さんに教えてもらい、正しい知識を身につけよう!

お墓にシーミーで集う一門。お墓は来世でのすみかとなり、永遠の家とする考え方が根強く残る。死後の魂の行き着く先の一つでもある
お墓にシーミーで集う一門。お墓は来世でのすみかとなり、永遠の家とする考え方が根強く残る。死後の魂の行き着く先の一つでもある

天国・極楽かニライカナイか

片道チケット

 死んだ人はいったいどこへ行くのだろうか?
 大命題を軽々におもしろおかしく論ずる気はさらさらないのだが、御願(うがん)の際にふと考えたりするものだ。
 死後、魂の生き続ける場所として、キリスト教では「天国」、仏教では「極楽」と説く。天国行きのチケットは、犯した罪を購(あがな)い赦(ゆる)しを乞うことによって手に入り、極楽行きは死する前に南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)を唱えれば手に入れることができるという。
 なあんだ、そんなことなら天国・極楽へのチケットなんぞ、アイドルのコンサートチケットより手に入れやすいじゃん、なんて考える輩(やから)がいるとすれば、それこそ罰当たりというものだ。軽々しく論ずるつもりはないとしながら、このような拙文を書く筆者なんぞ、聖職者ならずとも厚顔無恥だと批判もしたくなるだろう。
 それを承知のうえで、暴論をすすめる。
 もっとも気になるのが、われら祖先崇拝を宗旨(しゅうし)する者の「死後の魂はどこへ」ということだろう。
 まっ先に浮かぶのは「ニライカナイ」であろうか。「お墓」であろうか、「トートーメー」(位牌)であろうか。いずれにせよ、片道チケットであることに変わりはない。

イチマブイ・ナナマブイ

 天国・極楽に相応すると考えるならば、「ニライカナイ」だと思うのだが…。
 沖縄人が憧憬(しょうけい)してやまないニライカナイは、海のはるかかなたにあるとされる神々の住む世界。折り目節日には、そこから神々がやってきて「ユー」(豊穣・幸福)をもたらしてくれると信じられている、いわゆる来訪神信仰である。ところが不思議なことに、死後の魂の行きつく先とする伝承は少ない。神々の原郷ではあっても、死後の魂とは無縁の世界なのであろうか。
 お墓はどうだろう。
 現世の家は仮の宿で、来世のすみかとなる墓こそが永遠の家だとする考え方が根強く残る。だとすれば、死後の魂のたどり着く場所ともいえる。ただし、ウワイスーコー(最終年忌)をすませた死者の霊は、きよめられて昇天し、カミ(祖霊神)の仲間入りをするとされる。
 トートーメーはどうか。
 亡くなった人の霊の依代として位牌を安置する。当然、死者の魂が宿ることになる。沖縄人の信仰生活の中核をなし、強固な祖霊信仰をささえる基盤でもある。
 そこで、沖縄人の霊魂観を端的に表現した「イチマブイ・ナナマブイ」(五つのマブイ・七つのマブイ)ということばが重要な意味を持ってくる。人間のからだには複数の霊魂が宿っているとする考え方だ。
 複数のマブイはそれぞれに在るべき場所に宿るというわけだ。従って、死後の魂の行きつく先は一カ所とは限らないということになる。

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~参考文献~
「福を招く家づくり墓づくり」(むぎ社発行)」
 霊能者と易学士が、家づくりや墓づくりを指南する。家の門、玄関、仏壇、トイレの方位と寸法は家運の決め手となり、墓の入り口や墓口の方位は子孫繁栄に関係する

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執筆/座間味栄議(ざまみ・えいぎ)
 沖縄県の歴史・民俗を中心に地方出版物を刊行する出版社「むぎ社」を主宰。主な著作に「トートーメーQ&A」「沖縄の拝所」「オバァが拝む 火の神と屋敷の御願」など。御願行事について、やさしく伝えるサイト「御願ドットコム」も運営する。
http://www.ugwan.com/


<ウチナー御願ばなし>
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざにて連載<第1438号2015年2月5日より再掲載>

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