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週刊タイムス住宅新聞 担当記者が振り返る「2015年 住まいに関わる5大トピック」

週刊タイムス住宅新聞担当記者が振り返る
「2015年 住まいに関わる5大トピック」

 2015年も県内では、住まいに関わるさまざまなニュースがあった。その中から五つを、当連載の担当記者2人が現在の状況を交えながら振り返る。「建築費の高騰」と「相続税の改正」「空き家対策特別措置法の施行」「県あんしん賃貸支援事業の開始」「上昇傾向の地価」について。いずれも消費者に直接影響するもので、建築費は依然として高止まりの状態だ。

鉄筋コンクリート造住宅の建築現場 ※画像はイメージ
鉄筋コンクリート造住宅の建築現場 ※画像はイメージ

建築費 高止まり
人手不足が影響
坪80万円 横ばい状態続く

我那覇:ことし一番のトピックは、やはり建築費の高騰だろう。最大の要因は、鉄筋コンクリート(RC)造の型枠職人不足。4月に聞いた設計事務所の話では「数年前は50万〜60万円だった坪単価が、坪70万〜100万円ほどの見積もりが出て、施主の予算と折り合わない」と嘆いていた。

出 嶋:ある建築会社によると、今でもRC造は坪80万円ぐらいで横ばい状態だという。

我那覇:建築士の一人は「設計・施工を一貫する建築会社の見積もりと比べて、設計事務所が建築会社に施工を依頼した場合の見積もりは高くなってしまう。プランでコストを抑える工夫をしているが限界がある」とぼやいていた。

出 嶋:建材価格も大きく変動。ことし3月に1枚当たり1390円(建設物価調査会発表)だった木材・型枠用合板は、11月には1440円に値上がり。一方、1トン当たりの鋼材価格は、H型鋼で7000円下がり、RC造で使われる異形棒鋼は9000円下がっている。県内シンクタンクは、木材の値上がりは木材輸出国の伐採規制や円安が影響、鋼材の値下がりは中国や韓国などの経済が減速し需要が減少しているためではないかと見ている。

我那覇:建築士の多くは、建築費高騰は数年続くとの見通しを立てているよう。東京オリンピック関連工事や、2017年4月の消費税率10%への値上げに伴う駆け込みで、さらなる人手不足も予想される。

出 嶋:これからの家づくりはどうしたらいいか、きちんと考える必要がありそうだ。

我那覇:ポイントは、①RC造以外の躯体も検討する ②見積もりをこまめに取ってプランを早めに固め、建築費の変動をできるだけ少なくするになるだろう。 ①は、木造や鉄骨造などにすることで、地盤補強などの費用を抑えられる可能性があるから。 ②は建築費を早めに確定することで、建築会社も心積もりと、職人の手配段取りがしやすくなるため。それで自衛している設計事務所もある。あと、プランの優先順位づけも吟味したいところ。

出 嶋:家族構成などで間取りを自由に変えられるようにして、部屋数を抑える工夫も提案された。できるところは自分で施工するのも楽しそうだ。

相続税 基礎控除が縮小
専門家相談増 セミナーも盛況

我那覇:もう一つのニュースは相続税の改正だろう。ことし1月1日以後の相続から適用になった。基礎控除がそれまでの6割に縮小され、税率も2億円を超える分については40%→45%に、6億円超部分は50%→55%に引き上げられた。相続税対策の一環として、アパート建築を提案する広告、相続に関するセミナーも盛況のようだ。当社主催のセミナーでも関心の高さを感じた。

出 嶋:課税対象の範囲拡大を受けて、相続の専門家への相談も増加。節税のほか、何から始めればいいか分からない人からの相談も多いそうだ。

我那覇:相続税の申告と納税の期限は、相続開始を知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10カ月以内。この間に財産をどう分け、納税に充てるかをまとめるのは難しい。普段は仲良しの兄弟ですら、相続になると一変して「争続」になるぐらいだから。

出 嶋:専門家も「税金にフォーカスしがちだが、分け方が重要」と話していた。財産を「生かす」「残す」など分類し、親が元気なうちに家族で分け方を話し合うよう助言もあった。

我那覇:家族が互いを思いやる気持ちと、先延ばしせず、一歩踏み出して専門家に聞く。その取り組みが大切かもしれない。

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伊是名村にある空き家の古民家を改修した住宅=伊是名村提供
伊是名村にある空き家の古民家を改修した住宅=伊是名村提供

空き家修復し移住者招致
空き家対策特別措置法施行6カ月
自治体対応は来年度以降か

出 嶋:5月に「地震などで倒壊の恐れがある」「管理されず不衛生・景観を損なう」などの状態の空き家を、市町村が撤去・修繕できるよう権限を強化する特別措置法が施行された。

我那覇:本連載でも7月に、県内41市町村の同法への対応状況を電話で調査。対応はほぼこれからの状況で、本島北部や離島は仏壇があることが対応の難しさの一因になっているようだった。

出 嶋:最近、再度聞き取りした市部では、いまだに主管課が決まっていない状態だった。職員によると「ことしできた法律なので、予算の関係上、すぐに対応することは難しい。対応は来年度以降になるところが多いだろう」とのこと。

我那覇:離島は何か動きがあったのか?

出 嶋:伊是名村では、空き家となった古民家を修復し、移住者の住居として貸し出す取り組みを始めた。募集期間の20日間で、2棟に合計8件の応募があり、フェイスブックでの閲覧数は120万件を超えていたそうで、関心の高さが伺える。空き家となった建物を上手に生かす取り組みがこれからも注目を集めそうだ。

県あんしん賃貸支援事業スタート
居住支援相談増 入居事例も

我那覇:7月からは、高齢者や障がい者、低所得者、子育て世帯などが安心して賃貸住宅に入居できるようサポートする「県あんしん賃貸支援事業」が始まった。県居住支援協議会が、家主や不動産会社、支援団体と連携し、受け入れ可能な物件の情報を取りまとめ、スムーズな入居へとつなげる。

出 嶋:同協議会によると、事業開始後、居住支援に関する問い合わせが大幅に伸びたほか、入居を断られていた単身高齢者がこの事業を活用して入居できた事例もあるという。

我那覇:12月11日時点で登録しているのは、入居可能物件数9棟58戸(累計11棟65戸)、不動産会社4社。支援団体はまだない。

出 嶋:NPOや社会福祉協議会などと連携はしているものの、それぞれ既存の案件で手いっぱいな様子。今後、支援団体との協力体制をどう整えるか、協議会としても模索しているようだ。

県内地価動向
上昇幅拡大 二極化鮮明に

出 嶋:公示地価や地価調査、路線価などの地価動向を見てみると、ことしは上昇傾向にあった。

我那覇:公示地価と地価調査は、上昇幅が2014年よりも拡大。公示地価は1月1日時点、地価調査は7月1日時点。両者の調査地点は若干違っていて一概には言えないが、両者の主要地域の地価を見る限り、6カ月間で上昇幅が拡大しているように見える。両調査にかかわった不動産鑑定士によると、2~3年は上昇が続くと見ている。

出 嶋:別の不動産鑑定士は、観光客の増加で人気が高まり、需要も増したことが地価の上昇につながっていると分析。海外観光客の「爆買い」などで県経済が潤っているのも背景にあるという。

我那覇:住宅地の上昇は、都市部や区画整理地で顕著。一方、旧市街地や古い集落は下落傾向にあり、「二極化」が鮮明になっている。建築費が高騰する中、土地を購入するなら、希望する地域を広げ、柔軟に検討することが大切といえそうだ。

出 嶋:不動産のプロ資格「宅地建物取引主任者」も、4月から「宅地建物取引士」になった。

我那覇:「空き家対策特措法」「県あんしん賃貸支援事業」「地価」どれにも宅建士が関わる。社会的責任がの拡大を背景に、名称が変わった。借り手や買い手、売り手にとって、分かりやすく公平な不動産の専門家として期待が高まる。

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<いえの旬ネタ>
取材・編集:我那覇宗貴・出嶋佳祐
沖縄タイムスの副読紙/毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1562号2015年12月11日から第1563号2015年12月18日までの紙面から再掲載」

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