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自分で考え、決める
執筆者/宇津﨑友見
Q「中学生の息子が、自分で持ち物や身の回りのことを管理できるようになる方法はないでしょうか? 机周りは何度片付けても散らかり、探し物や忘れ物も多いです。アパート住まいなのですが、住育の視点から解決法があれば教えてください」
(宜野湾市 Nさん)
ご質問ありがとうございます。片付けが苦手な人たちに共通するのは、①きれいな部屋の状態がイメージできていない、②片付かない状態を実は心の中では満足している。そのどちらかです。そして子どもの場合によくあるのが、収納を親が考えていて子どもには難しい方法になっていること。つまり、その子に合った収納法でないということです。
片付けの習慣をつけるにはまず、「どんな部屋の状態にしたいのか」を息子さんに明確にしてもらいます。そして、「どうしたらその状態を保てるか」を自分で考え、決めてもらいます。これは幼児でも同じ。親が強制するのではなく、どんなに幼くても「これ、どうしたら片付けられる?」と聞いて、相談して決めることが大切です。自分で決めたことは、親の言う事よりも守ろうとしてくれますからね。まずは収納のアドバイスをするより、聞き上手になってみてください。
目指す状態がイメージできたら具体的な行動を考えてもらいますが、このとき「どうしたら?」という問い掛けをお母さんが優しく笑顔で繰り返すことで、びっくりするほどすてきなアイデアが出るケースは多いです。例えば、パンチを常に見えるところに置いたことですぐにファイリングする習慣が付き、プリントの山を解消できた。前日に時間割を準備し、朝、もう一度確認することで忘れ物がなくなったなど。子どもの頭の中を整理することがスッキリ快適なわが家につながります。
住まいは良き家族関係を生み出す場であり、健全な生活習慣を身につける場です。息子さんに片付けの習慣がついて、親子で毎日の暮らしをもっと楽しまれますよう応援しています。

宇津﨑友見(うつざき・ともみ)
(株)ミセスリビング代表取締役社長。建築士、住育アドバイザー。母、妹と全国各地で住育セミナーなども開く
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