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沖縄の建築家が考える住まい・デザインの発想【デザインのもと<10>】

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デザインのもと
強さと経済性とデザイン

前回は実験と構造計算によって、形で強さが変わることを証明しました。しかし、強さが変わるからといって、一体何なんだという疑問が出てくると思います。それは、ズバリ、経済性とデザインへの影響です。建物を造る時にどうしても最低条件となるのが予算です。予算は限られているものの出来上がるものは多様です。構造という視点がどのように関わっているのかをお話ししてみたいと思います。

同じ材料、分量で考えてみる

同じ原料、分量であれば基本的に原価は同じ。そこで、同じ条件で強さが異なるなら、経済性に大きな影響を与えることが想像できます。
 それでは解説図の例を見ながら話を進めます。ひと塊の原材料で一つの部材を作ります。これと同じ原材料で形を変えた部材を複数用意し比較します。すべての部材は断面積と長さは全く同じ。つまり、原材料の量は同じなので、原価は同額と言えます。では、その部材の中央位置に人が立って、どれだけたわむのかを構造計算で比較してみました。
 結果は図のように正方形を基準に考えるとその他の部材は、約3倍から11倍まで強さに差が出ます。どれもまったく同じ原料の塊から造り出した部材なのにです。
 ざっくり言うと、正方形では3メートル程度の床しか支えられない場合でも、H形なら6メートルの床を支えきれる可能性がある、と考えると理解しやすいのではないでしょうか。
 今回は単純な形を例に挙げましたが、デザイン次第で形は無限にあります。もし、柱や屋根裏を見せて仕上げるのであれば、支えているコンクリートや鉄骨、木材の形も気になるところ。そんな時に構造のデザインが重要な要因となります。
 身近なもので構造がそのままデザインになっているのが「橋」です。橋は支え方そのものがデザインとなっています。同じように住宅においても、支えている部分をそのままデザインにすることができます。
 このように構造技術は安全性の確認だけでなく、経済性やデザインにも大きく影響を与えています。


執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)

執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)
すえまつ・しんご/一級建築士。東京で構造家の今川憲英氏、池田昌弘氏のもとで修行した後、県内建築士事務所を経て、2001年、エス・エヌ・ジーデザイン設立

▼HP
sngDesign(エス・エヌ・ジーデザイン)
http://sng-design.com/

▼関連記事はこちらから
<11>構造技術を空間と一体に
<10>強さと経済性とデザイン
<9>使い方で変わる木材の強さ
<8>基礎を知る<後編>
<7>基礎を知る<前編>
<6>疑問を解決してみる
<5>素材の特徴生かす
<4>形に秘められた能力
<3>骨格を美しく
<2>構造とデザインの関係
<1>構造って何?


<デザインのもと>
沖縄タイムスの副読紙/毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1572号2016年2月19日紙面から掲載」

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