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ブラタモリ 首里編・那覇編でかってに盛り上がるの巻【コラム・ごく私的な歳時記】

新城和博の「ごく私的な歳時記」<15>
タモリさん、そこなんですよ
ブラタモリ首里編・那覇編で
かってに盛り上がるの巻

瑞泉の水は湧き水と証明されました
瑞泉の水は湧き水と証明されました

そろそろかな、と思っていた。番組スタート時から見続けてきたNHKテレビ番組「ブラタモリ」が那覇に来るのは。

いや、ずっと「そうなんですよ、タモリさん。琉球石灰岩の賜物(たまもの)なんですよ、首里は」とかいうシーンを見たい、と念じてきた。「那覇は、浮島だったんだ、ほぉー」とタモリさんが驚くところを想像していた。

そしてついに願いがかなった。(……タモリさんが日本各地をまち歩きして、土地の謎を解明する人気番組「ブラタモリ」を、皆さんが知っている前提で話は続きます……)

「まち歩き・那覇ポタリングが趣味でして……」と言い続けて、昨年、随筆『ぼくの〈那覇まち〉放浪記』をまとめ、『地元ガイドが書いた那覇まちま~いの本』を2年がかりで編集・刊行したのも、いつの日か「ブラタモリ」が那覇・首里にやってくると信じていたからだ……とは大げさか。でも多分全国にいる、まち歩きが好きな地形マニアたちは、だいたいそう思っているはずだ。わが町こそ、タモリさんが来るべきだと。

そんなこんなで個人的に大騒ぎして見た「ブラタモリ 首里編」。放映された翌日、首里の昭和初期の民俗地図を持って、当然のように番組で紹介された首里のポイントを巡った。実をいうと、僕の主な関心は、失われた那覇、つまり明治から昭和初期にかけての「んかし(昔)那覇」の面影を想像、いや妄想すること。引っ越してきて21年の首里は、あくまでも日常の延長として散歩をするところだった。しかし今回「ブラタモリ 首里編」で提示された、琉球石灰岩でできている高台・首里の水脈という視点を意識して歩いてみた。

「散歩」と「まち歩き」に違いがあるのか、といえば、大いにあると言いたい。漫然とてくてく(歩く)するのが散歩とすれば、見た目は同じでも、心の奥の深いところで、ちょっとしたこだわりを忍ばせながら漫然とぶらぶらするのが「まち歩き」なのだ(諸説あります)。どちらが怪しげかというと、絶対に後者である。何もない空き地をみつめて「……ふふ、ここに井戸がある……地図にもかつて酒造所だったマークがあるし……」と、足元の石積みを写真に撮ったりするわけだから。しかしそんな他人の目が気になる時に、ぼくらは「いや、これはブラタモリ(の気分)なんだから」と心の中でつぶやいて、堂々と振る舞えるのである。

首里三箇の大通り
首里三箇の大通り

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行きがけのサクラ
行きがけのサクラ

水脈を意識して歩いた首里の街は、いつもの散歩とは違う姿を僕に見せてくれた。弁が岳麓(ふもと)の自宅から出発して、鳥堀町、赤田町、崎山町のいわゆる「首里三箇」でかつて泡盛造りが盛んだったその名残を感じ、首里城の龍樋・瑞泉の水がとくとくと流ているのを確認。城下町ともいえる大中町、桃原町、そして儀保町へと下る。儀保町は初めて首里で暮らした町だ。期せずして僕の21年間をつなげるまち歩きとなった。ブラタモリの影響であっちこっちに人がいるかと思ったら、世界遺産周辺以外に人影はほぼなかった。それでいいのだ。民俗地図を眺めて、改めてウガン小、フトゥキ坂、三司官橋、はべる橋など、そそられる名前を発見し、ちょっと得した気分になる。

これもまた首里の水脈か
これもまた首里の水脈か

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空手の発祥地・首里とか
空手の発祥地・首里とか

地下の水脈を思いつつ首里の道を歩く。目に見えないものを感じ(スピリチュアルな意味ではなくて)想像するということは、日常を少し変えてくれる。人は、いくつもの時の流れの、その重なりの中で暮らしているということを知るだけでも、すこし生活が豊かになる気がする。人はそれを妄想と呼ぶが、妄想なき人生の、なんと寂しきことよ、である。

ちなみにこの原稿を書いている時点で「ブラタモリ 那覇編」の放映はまだである。あとしばらくはタモリさんがどういうコメントを言うのか、あれこれ想像する楽しみがある。

ああ、忙しい……。

sinjyo16405


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この記事のライター

新城 和博

ライター、編集者

新城 和博

1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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