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沖縄の建築家が考える住まい・デザインの発想【デザインのもと<11>】

デザインのもと
構造技術を空間と一体に

今回で最終回となります。これまでお話ししてきた構造が建築空間と一体となった事例を、最後に紹介したいと思います。

写真の建物は、私が独立したころ、東京の建築家瀬野和宏氏に依頼され、構造の設計監理を担当した長崎県にある診療所です。その時、照明計画も専門家である山本博之氏が担当しました。

材料決定から計画の細部まで、建築家と技術者側との共同のデザインワークから生まれた空間です。建築家側から、比較的安価な輸入木材があるという情報があり、その木材を採用することに決めました。規格が最大12センチ角材でしたが、問題となったのは、長さが6メートルの屋根を架ける長さまで足りないことでした。

建築家や照明の専門家と共同でプランを練った診療所=長崎県南島原
建築家や照明の専門家と共同でプランを練った診療所=長崎県南島原
上写真の建物の骨組み。柱や梁は12センチの角材を使用して構造設計しコストもコントロール(sngDesign 提供)
上写真の建物の骨組み。柱や梁は12センチの角材を使用して構造設計しコストもコントロール(sngDesign 提供)

そこで私は「長さが足りなくても継ぎ足して支え、さらにすべての柱・梁を12センチの角材だけで構成すると、仕入れが安くなるのではないか」という提案をしました。この提案を元に建築空間や照明計画まで整理し、プランを磨き上げました。その結果、建築、構造、照明が一体となった写真のような空間が生まれました。

単にデザインだけに焦点をあてて計画を進めると、どこかで必ず技術的な分野とのすり合わせが出てきます。あらかじめそういった技術面も含めてデザインすることの大切さを、このプロジェクトで学びました。

これまで構造という視点でデザインをお話ししてきました。建築をはじめ産業製品に求められるのは芸術性だけではありません。使いやすさや安全性、耐久性など技術的要素もとても大切。技術分野も含めてコントロールされたデザインであれば、より人々に受け入れられる製品になるのではないだろうかと私は考え、活動しています。何かしらみなさまのヒントになれば幸いです。

ご愛読ありがとうございました。


執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)

執筆/末松信吾(sngDesign/建築家)
すえまつ・しんご/一級建築士。東京で構造家の今川憲英氏、池田昌弘氏のもとで修行した後、県内建築士事務所を経て、2001年、エス・エヌ・ジーデザイン設立

▼HP
sngDesign(エス・エヌ・ジーデザイン)
http://sng-design.com/

▼関連記事はこちらから
<11>構造技術を空間と一体に
<10>強さと経済性とデザイン
<9>使い方で変わる木材の強さ
<8>基礎を知る<後編>
<7>基礎を知る<前編>
<6>疑問を解決してみる
<5>素材の特徴生かす
<4>形に秘められた能力
<3>骨格を美しく
<2>構造とデザインの関係
<1>構造って何?


<デザインのもと・いえのこと>
沖縄タイムスの副読紙/毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「第1576号2016年3月18日紙面から掲載・本連載は終了」

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