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うりずん雑感・鳥は飛び立ったの巻【コラム・ごく私的な歳時記】

うりずん

新城和博の「ごく私的な歳時記」<16>
うりずん雑感
鳥は飛び立ったの巻

旧暦は、僕たちの暮らしと自然をつないでくれる季節感。新暦と旧暦、この二つの時間軸を重ねることで、僕たちは味わい深くも面倒くさい日々に誘(いざな)われていくのである。彼岸からシーミーへ、年度末よ、越えていけ!

草木が若々しく芽吹く「うりずん」という響きを意識するようになったのは、多分40歳過ぎてからだ。那覇・開南から首里に移り住んで、季節の変化に敏感になったからということではない。人生の四季、つまり壮年から老年へと続く自分自身の移ろいの予感を、「うりずん」という沖縄的な、あまりにも沖縄的な響きと、つい比べてしまう。要するに、なんとなくうらやましいのだろう。「青春」というにはまだ早い春の陽気に誘われて、文章がよれよれだが、しかたない。

新城和博さんコラム

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ヤマトから帰省している大学生の娘が、映画サークルの自主制作映画を作るというので、いつのまにか巻き込まれてしまい、今年のうりずんの節は、島のあちこちに車を走らせた。離島にも渡った。大勢のオトナとコドモたちがボランティアで加勢しているのを見て、いやはや学生映画でもこんなにいろいろ大変なのだなぁと思いつつ、とりあえずもう早くクランク・アップしてくれ! とやきもきしている。

テーマが沖縄戦の遠い記憶ということもあり興味津々なのだが、それとは別に、ああそういえば、若者というものはこんな感じでまわりに迷惑かけつつも、突っ走っていくものだなぁと……と思いだしたりする。

いや、なにも自分が「旧暦」で、娘たちが「新暦」などとは思わないが、異なる世代が重なることで、いろんな島の歴史が見えてきたらいいのではないかと、ここは父親面しておこう。

うりずんの雨が降ると、弁が岳の森にいるカエルたちが鳴き出し始めた。冬の時期、彼らはどうしていたのだろう。なんとなく、今年は特に寒気が強かった気がするので、冬を越えての再会はうれしい。

去っていったものもいる。長い付き合いになると思ったあのイソヒヨドリは、いつのまにか顔を見せなくなった。他の若いイソヒヨドリが何羽も近所の木々にやってきているのだが、あのイソヒヨドリの雌ではない。デッキにもベランダにも窓にもその姿はない。せっかく一緒に食べようと思っていたピーナツをデッキでビール片手にほおばっても、もうあの気配は感じられない。どこかへ、もっとよい森へ、新天地へ飛び立ったのだ……などと思いつつ、まだ若いイソヒヨドリにエサをやる気にはなれないのでいる。

イソヒヨドリ|新城和博さんコラム
小鳥はもう帰ってこない。

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この記事のライター

新城 和博

ライター、編集者

新城 和博

1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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